文学

ポー「大鴉」訳詩比較

訳詩のあまりの違いに驚いたので写真とともに。 「大鴉」冒頭部、加島祥造・2009年版訳 あれは嵐の吹き荒れる夜のことだった それも真夜中だ。 悲しさにぐったりした気持で もう世に忘れられた古い怪奇な物語を 読んでいた。ふと、うとうと 睡りはじめた。と…

吉本隆明、石川九楊『書 文字 アジア』

筆蝕 石川 (略)引っかくことも、筆で触ることも含めて、〈触る〉ということで書き手の側にはねかえってくる触覚が、言葉の思考を促していくということ。それがいわゆる触れるという意昧での〈触〉です。蝕むという方の〈蝕〉というのは、同時にそこに定着…

良寛論 吉本隆明

また古典からでスマンソン、吉本隆明第六弾。 古典 (吉本隆明全集撰)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 大和書房発売日: 1987/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る良寛作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 春秋社発売日: …

『言語にとって美』その2・吉本隆明

前日のつづき。 読みやすい吉本隆明・第三弾。『言語にとって美とはなにか』。 第四章は明治以降の日本文学史解説、かなりブツ切りなので、これだけ判断されると困るなあと思って、ボツにしかけたのだけど、結局アップ。あんまり読みやすくないかもなあ。こ…

書物の解体学・その2 吉本隆明

前日のつづき。うまく引用できなかったのでガックリきて、この分量で終了、立ち読み代わり程度に。 書物の解体学 (講談社文芸文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/06/10メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る …

書物の解体学 吉本隆明

読んだことのない人に勧める、読み易そうな吉本隆明・第二弾。1975年刊(51歳)。順番をとばして、一番わかりやすい「ヘンリー・ミラー」から。書物の解体学 (講談社文芸文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/06/10メディア: 文庫 クリッ…

悲劇の解読 吉本隆明

読んだことがない人が読むならどれがいいかと考えて、とりあえずこれを選んでみた。79年刊(55歳)。もちろん僕はちくま文庫版ですけど。 添付したヘンテコ画像は、おまけの五センチ人形接写したら生きてるみたいや、てなピコ麻呂気分で作成した下の動画用素…

フランス文学講義・その2

前日のつづき。フランス文学講義 - 言葉とイメージをめぐる12章 (中公新書)作者: 塚本 昌則出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/01/24メディア: 新書購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (10件) を見るゾラ ゾラ自身が標傍する自然主義は、…

フランス文学講義

10章までは「1時間でわかるフランス文学」ってかんじでサクサク進行。フランス文学講義 - 言葉とイメージをめぐる12章 (中公新書)作者: 塚本 昌則出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/01/24メディア: 新書購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブ…

荒川洋治の詩壇メッタ斬り

チラ見。ほのぼの淡々と昔の文学について語っている新聞掲載文が主体なのだけど、それに混じって結構disってる書下ろしが。昭和の読書作者: 荒川洋治出版社/メーカー: 幻戯書房発売日: 2011/09/01メディア: 単行本 クリック: 30回この商品を含むブログ (11件…

兄弟−刑務所の内と外で

ぼくが痛感していたのは罪の意識だった おれは、ほんもののブルースの話をしてるんだ あんたの弟は仙人になりつつあるのさ 『ファミリー・アフェア』 大学教授で作家の兄と終身刑の弟の実録をチラ読み。 兄弟―刑務所の内と外で作者:ジョン・ワイドマン発売日…

源一郎、「ニッポンの小説」、綿矢りさ

柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方作者: 柴田元幸,高橋源一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/03/13メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 240回この商品を含むブログ (53件) を見る第一章はコレ→kingfish.hatena…

セゾン文化は何を夢みた・Pt2

前日のつづき。 セゾン文化は何を夢みた 作者: 永江朗 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2010/09/17 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 64回 この商品を含むブログ (22件) を見る 難波英夫(セゾン美術館) 「50年代の終わりから60年代は、外国に…

堤清二81歳、リブロの棚

西武鉄道から離れて マーケティング論への異議 現代美術 リブロ・中村文孝 リブロの棚 セゾン関係者へのインタビュー本。 順番を変えてラストの堤清二81歳の話から。 セゾン文化は何を夢みた 作者: 永江朗 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2010/09/17…

言文一致体の誕生 /橋本治

『愚管抄』 『平凡』ニ葉亭四迷 失われた近代を求めてI 言文一致体の誕生 (失われた近代を求めて 1)作者:橋本 治発売日: 2010/04/20メディア: 単行本 『愚管抄』 面倒臭い話をするとなれば、意味の凝縮された漢語を使うしかない。「それだけだと分からない」…

日本SF精神史

貫名駿一『星世界旅行』明治15年 杉山藤次郎『黄金世界新説』明治17年 幸田露伴「滑稽御手製未来記」明治44年 押川春浪「海底軍艦」 星一「三十年後」大正7年 賀川豊彦「空中征服」大正11年 日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス) 作者: 長…

大塚英志「大学論」

先に書いておくとトータル「大塚キモイ」という結論なので信者の皆さんは読まない方がいいと思います。大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)作者: 大塚英志出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/03/18メディア: 新書購入: 5人 クリック: 168回…

無限文学

「第5公準」は、 ニュートン、オイラー 『無限解析』は 肝心の中身は読まずに、数学の本に書かれている文章の方が、文学的高揚を目指して書かれているはずの「文学」より文学的なのだろうかと考えていたのでした。数学が歩いてきた道 (PHPサイエンス・ワー…

「山月記伝説」の真実

中島敦の袁傪 教科書採用の歴史 『人虎伝』 中島敦「山月記伝説」の真実 (文春新書)作者:島内 景二発売日: 2009/10/20メディア: 新書 中島敦の袁傪 中島敦の袁傪は、釘本久春という文部官僚(他に氷上東大教授等もいるが)。戦前は植民地での日本語教科書を…

『悪魔の詩』死刑宣告の発端

暴力化するアジア系 アジア系の突き上げで死刑宣告 クウェート侵攻時のサッチャー 陰謀だと主張するカダフィ イラン・イラク戦争で在庫処分したエジプト なぜクウェートはイラクの苛立ちを無視して増産したか コーランが母国語じゃないアジア系が過激になっ…

石原吉郎詩文集

石原吉郎詩文集 (講談社文芸文庫)作者: 石原吉郎,佐々木幹郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/06/11メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 26回この商品を含むブログ (30件) を見る敗戦、ソ連軍によって民間抑留者となった著者。収容所は食料のみならず食器…

五味流女遍歴

人妻 21歳の女子大生 ピアニストの卵 ヒトハネタ オーディオで散財した著者の結論 山口瞳 師匠のシステムでもよくなければキッパリ否定する著者。歯に衣着せぬオーディオ談義の合間にさらりと披露された女性遍歴の方が気になって。 オーディオ巡礼 (SS選書)…

「おいしい生活」の現実

前から思ってたけど、ツツミさんて、ミチコKOGOに似てない? 叙情と闘争―辻井喬+堤清二回顧録作者: 辻井喬出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (22件) を見る躍らせた側のさっくりし…

ハーンと八雲、マゾッホ、島嶼

ハーンと八雲作者: 宇野邦一出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2009/04/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る民俗学 ハーンは同じ講義の中で、彼が教える大学生たちにも、[ギリシア最大の牧歌詩人]テオクリトスのように…

すべての美しい中原昌也

久々に帰ってきた中原昌也式(色んな小説からサンプリングして中原昌也っぽくなるかという試み)。 kingfish.hatenablog.com 今回は下記の本からの引用を順番に並べただけ。しかも中原昌也っぽいかもビミョウ、そもそも中原昌也っぽいって、ナニ。すべての美…

読む/まないための50方法

読書のパラドックスは、 『特性のない男』に登場する帝国図書館司書 「全体の見晴らし」という概念 申し分ないと思っている本をこき下ろす方法 読んでいない本について堂々と語る方法作者:ピエール・バイヤール発売日: 2008/11/27メディア: 単行本 一見安易…

中原昌也作業日誌

時間を大量消費して読了。著者の精神状態でこちらもドンヨリ。 引用してどうこうという本じゃないのですが、ドンヨリ気分で、こんなとこだけ引用することに、スマンソン。 キンクス『ヴィレッジ〜』はともかく、ローラ・ニーロとかも聴くのかとビツクリ。中…

『百科全書』、号泣本作者に会いたい

『百科全書』 不安 百科全書派 書物を味わう 号泣!『新エロイーズ』・作者に会いたい 前日のつづき。 猫の大虐殺 (岩波現代文庫)作者:ロバート ダーントン発売日: 2007/10/16メディア: 文庫 『百科全書』 もろもろの事象を選別し分類したいという欲求は、デ…

メタのらくろ、坂口安吾野球論

「メタのらくろ」 一億総反省 1946年「日本野球・見たまゝの記」 坂口安吾 古賀政男氏に聴く 手塚治虫 青年会議 占領期雑誌資料大系 大衆文化編〈1〉虚脱からの目覚め発売日: 2008/09/25メディア: 単行本 「メタのらくろ」 1949年「のらくろと私」 のらくろ…

スタニスラフスキー、チェーホフを語る

前日のつづき。芸術におけるわが生涯〈中〉 (岩波文庫)作者: スタニスラフスキー,蔵原惟人,江川卓出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/06/17メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見るゴーリキー「どん底」 私たちの最初のクリミア…