2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

横井小楠・儒学的正義とは何か

横井小楠―儒学的正義とは何か作者: 松浦玲出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2000/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (2件) を見る肝心の本編は未読で、増補版で収録された「アジア型近代の模索」だけ読了。とりあえず関連…

タイガー&ドラゴン「猫の皿」

自分が価値を認めているものを評価しない人間に与えるにはどうすればいいか、価値観の違う者同士が交換を行うにはどうするか、それが「猫の皿」の裏テーマじゃないのか。茶屋の主は皿の価値がわかったうえで「猫の皿」扱いして、汚い猫を3両で買わせてしま…

中世とは何か

ミレニアムは千年じゃなかった。 ラテラノ公会議にて結婚は人生の理想となる 耳聴告白 十六世紀に「宗教」という言葉が生まれた 煉獄の発明 中世とは何か作者:J.ル=ゴフ発売日: 2005/03/01メディア: 単行本 裏表紙の短い引用が実に的確で、これを読むだけで…

スピノザの世界 上野修

何でも人間で考えるな。 全知の存在に虚構はない。 懐疑論者の手口 デカルトの潔いモラル 国家とは スピノザの世界―神あるいは自然 (講談社現代新書)作者:上野 修発売日: 2005/04/19メディア: 新書 何でも人間で考えるな。 「ちょっと待ちたまえ」というスピ…

鮎川信夫の戦争話

鮎川信夫が古参兵から聞いた話であるから、真実でない可能性もある(そう断っておかないと、またウルサイカラ)。 僕はこんな話を際限もなく繰りひろげてみせようとは思わない。こんなことは聞いたからといって別にどうなるといふやうな話ではないし、解りき…

橋川文三/三島由紀夫論集成

戦時下の「ビューティフル・ドリーマー」。 三島におけるネーションは 三島の「法律と文学」 全部嘘と言えばよかったのに。 三島由紀夫論集成作者:橋川 文三メディア: ハードカバー 1968年の文章。呉智英は22歳手前か。 現代の危機は、封建制というある意味…

ハイブラウ/ロウブラウ・その3

プロアマの壁が生じる 文化統制の確立 白黒映画のカラー化問題に関して 前々日の続き。 ハイブラウ/ロウブラウ・その2 - 本と奇妙な煙 ハイブラウ/ロウブラウ―アメリカにおける文化ヒエラルキーの出現 作者: ローレンス・W.レヴィーン,Lawrence W. Levine,…

タイガー&ドラゴン「明烏」

落語の若旦那にあたるのが三人。落語の構造でいくと、親の依頼ということになるのだが、どうも全部虎児(長瀬智也)が仕切っているように思われる。 どん吉(春風亭昇太)は誰がみてもその通り。 銀次郎(塚本高史)になるとやや明白ではない。 1.薬師丸ひ…

ハイブラウ/ロウブラウ・その2

はじまりは熱海秘宝館 ボストン美術館も最初は コレクションのレヴェルが 写真を芸術とは認めない ヘンリー・ジェイムズ 「逃げ道は過去にしかない」 前日からの続き。 ハイブラウ/ロウブラウ―アメリカにおける文化ヒエラルキーの出現 作者: ローレンス・W.…

ハイブラウ/ロウブラウ

大衆娯楽だったシェイクスピア シェイクスピアの神聖化にともない バンドとオーケストラの区別なし 大衆から離れてどうするか、 神聖化により、素人音楽は駄目なものとされる ハイブラウ/ロウブラウ―アメリカにおける文化ヒエラルキーの出現 作者:ローレンス…

三島由紀夫が死んだ日

さてクイズです、以下の文章はいつ書かれたものでしょう。 現代に於ける文学不安の一原因は、知識階級が芸術的趣味嗜好を失ひつつあることである。一般に知的努カをあまり悦ばなくなってゐる。現代人は知性に於ては相当高度のものを示してゐるが、彼等の知識…

ビル・エヴァンスについてのいくつかの事柄

ビル・エヴァンスについてのいくつかの事柄作者: 中山康樹出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/03/19メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見る『ヴィレッジ・ヴァンガード』のギャラ 1950年代後期から60年代初頭にかけての…

そんなことより、この一週間

田んぼを眺めていたよ。胃が痛いなあと思っているうちに、動悸がひどくなって、やばい。水面の波紋とか、よくわからない赤茶のミジンコがわらわら動いてるのとか、ムニョムニョ泥で蠢いているのとか、アメンボとかを眺めてしのぎました。大丈夫か、オレ。

タイガー&ドラゴン「厩火事」

一番凄いのは落語と同じ落ちだけれども意味が違うとこ。最後の漫才の遣り取りで清水ミチコが死ぬことに古田新太は気付いているわけで、そこでお前が死んだら酒が飲めないと言うことは、もう飲めない、酒を止めると宣言しているわけだ(さらにラストでは芸人…

『タイガー&ドラゴン』権助提灯

何が衝撃って、ひとつで十分だと言う権助が、ドラマでは長瀬・岡田・塚本の三人に増殖してしまうこと。これねー、難しい話が得意な人がやったらエラソーに語れそうで、他にもなんだかんだ、「毎晩、ジリッ、ジリッ、しながら」考えてしまって、 寝不足よっ!…

橋川文三、啄木と大逆事件

橋川文三著作集〈3〉明治人とその時代・西郷隆盛・乃木伝説の思想作者: 橋川文三出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2000/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る悲しい未来戦記 日本近代史上、未来戦記が数多く出版された一つのピークは、大正…

1966年のオバQ

鮎川信夫が1966年に「週刊読売」で連載したゆるめの時評。なんとなく面白いので長めに。40年前の話ですから。 友人がまるで高城剛で笑える 夜おそく友人の家をたずねると、部屋のすみに見慣れない長方形の箱が立っていた。 「なんだね、これ」と聞くと 「空…

堤清二の見た三島、吉田健一

三島由紀夫、死の当日。 吉田健一 武田百合子 軽井沢のジョン・ケージ 辻井喬コレクション 8 (辻井喬コレクション【全8巻】) 作者: 辻井喬 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2004/01/25 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を…

1984年の鮎川信夫

時評 (鮎川信夫全集)作者: 鮎川信夫出版社/メーカー: 思潮社発売日: 1994/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る浅田彰を否定しつつ共感。 しかし、彼の逃走の倫理が現実において何をもたらすかといえば、政治的にはせいぜい少…

「ほぼ日」のタイガー&ドラゴン

[https://kingfish.hatenablog.com/entry/20050430">4/30に「タイガー&ドラゴン」について書いた勢いで普段見ない「ほぼ日」の 少なくとも落語については、 誰が認めようと認めまいと、 「オレはこれがいいと思う」 というのがあるんですよ。 でも、BOS…

鮎川信夫の鶴見批判、アメリカ考

「進歩主義者の限界」1969年12月 吉本隆明による批判 アメリカのエスタブリッシュメント 真珠湾ルーズベルト陰謀説とかありえないと 時評 (鮎川信夫全集)作者:鮎川 信夫メディア: 単行本 「進歩主義者の限界」1969年12月 「戦争中個人的良心を守ることのみに…

鶴見俊輔、国体論、身上相談

昭和30年の身上相談。「零号夫人」かあ。 フェミ小説だったのか『真珠夫人』。 岩倉使節団 現代日本思想史 (鶴見俊輔集)作者:鶴見 俊輔メディア: 単行本 前半は面白話で、後半は陰気に国体話。 1956年頃の話。プロ固定かあ。 さらに、新聞社が、採用された投…

監視ゲーム

どっちつかずの軍事力 シミュレートされた戦争 監視は都市生活の孤独を補完する 「ひとりの時間」「自分だけの時間」なんてあるのか 完全な情報公開は過激な匿名性を可能に 気にせず食えよ狂牛肉 監視ゲーム―プライヴァシーの終焉作者:ウィリアム ボガードメ…

元祖ニート、女乞食

1962年の橋川文三 明治42年頃の「堕落学生」はドロップアウトしてカツアゲ・婦女暴行、食うためにストリートミュージシャン、路上アクセサリー販売、ボンボンならば親の金でショップを開いて、「自由結婚と称して、男女学生が一所になって勝手な生活を営」み…