文学

断絶 リン・マー

訳者あとがき 「シェン熱」 福州、四人のおじ フェイクのヴァリエーション 両親の歴史 断絶 (エクス・リブリス) 作者:リン・マー 白水社 Amazon 以下の訳者あとがきにある内容の小説なのですが、著者のリアルをそのまま反映しているとおぼしき中国に関する描…

インチキの英語でも、英語なしよりはいい

Linh Dinh, "'!'" (2004) 左頁に英文、右頁に訳という英語学習本、収録された小説がなかなか面白かった。 他人になってみる 作者:柴田 元幸 研究社 Amazon [収録作品] Stuart Dybek, "Farwell" (1990)(スチュアート・ダイベック「ファーウェル」) Paul Bow…

僕は珈琲 片岡義男

まずい珈琲豆 植草甚一さん 『黒い傷あとのブルース』 香港クレージー作戦、一九六三年 こうも考えた 僕は珈琲 僕は珈琲 作者:片岡 義男 光文社 Amazon まずい珈琲豆 日本が国際コーヒー協定に参加したのは一九六四年だった。当時の日本は、珈琲市場として新…

夢・アフォリズム・詩 フランツ・カフカ

夢・アフォリズム・詩 (平凡社ライブラリー) 作者:フランツ・カフカ 平凡社 Amazon ほんとうに判断を下せるのは党派だけである。しかし党派である以上、党派は判断を下すことはできない。そのためにこの世には判断の可能性はない。あるのはただそのほのかな…

サリンジャー 評伝 その4 暴露本

三人目の妻・コリーン ジョイス・メイナード 今度は娘が暴露本 結論 前回の続き。 サリンジャー (-) 作者:デイヴィッド・シールズ,シェーン・サレルノ KADOKAWA/角川書店 Amazon 三人目の妻・コリーン AP通信 本日未明、J・D・サリンジャーの自宅が火災によ…

サリンジャー 評伝 その3 『キャッチャー』は戦争小説

『キャッチャー』は戦争小説 僕たちは一緒に駆け落ちするべきなんだ コーニッシュ、シャーリー・ブレイニー クレア・ダグラス ニューヨーカー編集者・ウィリアム・ショーン 前回の続き。 サリンジャー (-) 作者:デイヴィッド・シールズ,シェーン・サレルノ K…

サリンジャー 評伝 その2 ジーン・ミラー14歳

サリンジャーのアドバイス ヘミングウェイに会う 倒錯の森 冬の死者たち まだ燃えている ゲイ・タリーズ、トム・ウルフ ジーン・ミラー 「娘さんと結婚します」 別れ 前回の続き。 サリンジャー (-) 作者:デイヴィッド・シールズ,シェーン・サレルノ KADOKAW…

サリンジャー 評伝 戦争、生い立ち、ウーナ

吹き飛んだ戦争への期待 生い立ち 「ある少女の思い出」 初掲載「若者たち」 ウーナ・オニール ウーナがチャップリンと結婚 サリンジャー (-) 作者:デイヴィッド・シールズ,シェーン・サレルノ KADOKAWA/角川書店 Amazon 吹き飛んだ戦争への期待 シェーン・…

Bowie's Books デヴィッド・ボウイの人生を変えた100冊

Awopbopaloobop Alopbamboom 荒地|T・S・エリオット|1922年 いかさま師ノリス オン・ザ・ロード ザノーニ 鯨の腹のなかで グレート・ギャツビー イングランド紀行 ミス・ブロウディの青春 A People's Tragedy 終わりなき闇 Nowhere to Run ブルックリン最…

小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム

「飛びます、飛びます」 不条理コント クレイジー・キャッツ 谷啓 タモリ 読んでないはずないけど、読んだ記憶がなくて、読んでみたけど、やっぱり読んでなかったみたい。 小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏 (集英社文庫…

戦争育ちの放埓病 色川武大

幻視幻覚 麻薬について 能の魅力 戦争育ちの放埓病 (銀河叢書) 作者:武大, 色川 幻戯書房 Amazon 幻視幻覚 麻薬体験があるらしい見知らぬ方からの葉書がときおりまじっていて、貴方もLSDをやっていたことがあるでしょう、と記してある。私の小説の中に幻視幻…

イギリス近代の中世主義 マイケル・アレクサンダー

「ゴシック」と「中世」 エドマンド・バーク『フランス革命の省察』 ロマンス フランス革命で出戻った聖職者 歴史と物語 ウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズ イエズス会のホプキンズ神父 ラスキン、ビアズリー G・K・チェスタトン 二十世紀…

カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話

制限節は同一化したがる 〈天にまします我らの父よ〉は制限節か、非制限節か? ぶらさがり分詞 betwenn you and me と「友&愛」 『イパネマの娘』not at he I は me のフォーマル版?――屈折変化 ケネディはストリッパー――シリアル・カンマ プレゼントにわた…

ジョージ・オーウェル その2

『カタロニア讃歌』 『ライオンと一角獣』 、愛国心 戦況ニュース解説、検閲 『動物農場』 「復讐は苦し」 「文学の禁圧」 ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌 (岩波新書) 作者:川端 康雄 発売日: 2020/07/18 メディア: 新書 『カタロニア讃歌』 …

ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌

船旅の思い出 困窮 命名「ジョージ・オーウェル」 『ウィガン波止場への道』 『カタロニア讃歌』 喉を撃ち抜かれる スペイン脱出 ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌 (岩波新書) 作者:川端 康雄 発売日: 2020/07/18 メディア: 新書 船旅の思い出 …

大人にはわからない日本文学史 高橋源一郎

樋口一葉 明治二十八年の「リアル」 円朝 小説と詩の違い 「小説のOS」 ケータイ小説 大人にはわからない日本文学史 (ことばのために) 作者:高橋 源一郎 発売日: 2009/02/20 メディア: 単行本 樋口一葉 わたしは長いあいだ一葉のことを、周りで新しい散文が…

小説世界のロビンソン その2

第十五章 1952年のスリリングな読書 第十六章 物語の極限――「ラブイユーズ」 第二十一章 未知との遭遇=〈大衆文芸〉 〈エンタテインメント〉 カート・ヴォネガット 第二十八章 ブローティガンの場合 第二十九章 J・アーヴィングの場合 第三十二章 「瘋癲老…

小説世界のロビンソン 小林信彦

第二章 岩窟と地底の冒険 第三章 集団疎開と「夏目漱石集」 第五章 「吾輩は猫である」と自由な小説 第八章 〈探偵小説〉から〈推理小説〉へ 第十一章 遅いめざめ――1950 第十二章 太宰治――マイ・コメディアン 第十四章 ピカレスク小説 小説世界のロビンソン …

文学がこんなにわかっていいかしら 高橋源一郎

なぜメタ・フィクションが精彩を欠いているのか 吉本ばなな『満月』批評 「尾辻克彦」探検記 田中小実昌『アメン父』評 カルヴィーノの遺言 今月の文学候補――その傾向と対策 夏休み課題図書を読む 文学がこんなにわかっていいかしら (福武文庫) 作者:高橋 源…

文学王 高橋源一郎

小説の中の子供たち 「いい野球小説を書くのはどうして難しいんだろう」 跳躍へのレッスン 恋に落ちる話でも読んでみることにした 文学王 (角川文庫) 作者:高橋 源一郎 メディア: 文庫 小説の中の子供たち (略) 『小鳥の園芸師』に出てくる、架空の村の子…

生還 小林信彦

夢小説 シュールな会話 闘病エッセイ風になってきた第五章、 第九章 どことなく中原昌也風でもある文章 ミステリアスな展開? 大島渚 ケア・ワーカー 二度目の骨折 脳梗塞になった状態で書かれた前半の文章がなかなかに面白いというかコワイというか。果たし…

MELOPHOBIA 安川奈緒

玄関先の攻防 週末のおでかけ 今夜、すべてのメニューを MELOPHOBIA 作者: 安川奈緒 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 2006/12 メディア: 単行本 クリック: 90回 この商品を含むブログ (10件) を見る 玄関先の攻防 1 「おまえがかつて見たものを俺が見るこ…

霧中の読書 荒川洋治

アーサー・ミラーの小説 則武三雄 『西東三鬼全句集』 中村薺『かりがね点のある風景』 「幸福な王子」の幸福 霧中の読書 作者:荒川 洋治 発売日: 2019/10/02 メディア: 単行本 アーサー・ミラーの小説 [『存在感のある人』は]八五歳を過ぎて書いたものだが…

見田宗介対話集 山田太一、吉本隆明

山田太一「オウムを生んだ母子関係の力学」 吉本隆明「世紀末を解く」 超高層のバベル 見田宗介対話集 (講談社選書メチエ) 作者:見田 宗介 発売日: 2019/12/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) 山田太一「オウムを生んだ母子関係の力学」 『大航海』1995年…

書評稼業四十年 北上次郎

傍若無人な大森望が鏡明には 中間小説の時代 北上さんとはお逢いしたことがない 書評家の副業 「締め切りを守ること」 書評稼業四十年 作者:北上 次郎 発売日: 2019/07/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 傍若無人な大森望が鏡明には あまりに話が飛びす…

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界

『社会と文学』 最初期娯楽小説「露西亜がこわいか」 講談速記本の製造プロセス 複数人で書く、文士崩れがいる、厳密さは求められない 最初期娯楽小説 犯罪実録、推理小説 忍者キャラ 猿飛佐助がなぜ少年になったか 無名作家と駄作の先に 「舞姫」の主人公を…

10セントの意識革命 片岡義男

なぜいま一九五〇年代なのか 『地上より永遠に』 ロックンロール・ミュージック 1970年8月から 1973年8月までに書かれた文章。 10セントの意識革命 作者:片岡義男 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2015/01/31 メディア: 単行本 なぜいま一九五〇年代なのか …

ブローティガン『東オレゴンの郵便局』翻訳比較

(平石貴樹訳) (藤本和子訳) 「天の鳥たち」 「アーネスト・ヘミングウェイのタイピスト」 「庭はなぜ要るのか」 「一九三九年のある午後のこと」 「伍長」 「装甲車 ジャニスに」 「カリフォルニア1964年において高名であること」 平石貴樹が「アメリカ…

洋書天国へようこそ 宮脇孝雄

『さらば愛しき女よ』レイモンド・チャンドラー 『よき兵士』フォード・マドックス・フォード 『情事の終り』グレアム・グリーン 『チップス先生さようなら』ジェイムズ・ヒルトン 『長距離ランナーの孤独』アラン・シリトー 『ラブ・ストーリィ』エリック・…

歌謡曲が聴こえる 片岡義男

一九六二年、夏の終わり、竹芝桟橋 黙って見ていた青い空 夜の新宿 フランク永井 一世代前で素材が歌謡曲でもなんとなく春樹の先駆け感が出てる第一章。第三章は橋本治に先駆けてか。 歌謡曲が聴こえる (新潮新書 596) 作者: 片岡義男 出版社/メーカー: 新潮…