文学

大人にはわからない日本文学史 高橋源一郎

大人にはわからない日本文学史 (ことばのために) 作者:高橋 源一郎 発売日: 2009/02/20 メディア: 単行本 樋口一葉 わたしは長いあいだ一葉のことを、周りで新しい散文が生まれつつあったなかで、それをまったく知らないかのように、古めかしい美文に立て籠…

小説世界のロビンソン その2

前回の続き。 小説世界のロビンソン 作者:小林 信彦 メディア: 単行本 第十五章 1952年のスリリングな読書 ぼくらは、次々に発表される〈新しい小説〉、訳されるカミュやカフカを読みながら、並行して、バルザックやサッカレーやドストエフスキーを読む、と…

小説世界のロビンソン 小林信彦

小説世界のロビンソン 作者:小林 信彦 メディア: 単行本 第二章 岩窟と地底の冒険 (略) 野村胡堂、というと、「銭形平次」ですか、と、たいていの人が答える。それだけで、ぼくは、もう、あとの言葉をつづける気を失ってしまう。(略) 昭和初年に書かれた…

文学がこんなにわかっていいかしら 高橋源一郎

文学がこんなにわかっていいかしら (福武文庫) 作者:高橋 源一郎 メディア: 文庫 なぜメタ・フィクションが精彩を欠いているのか ちょっと回り道して考えてみよう。「小説についての小説」はメタ・フィクションと呼ばれるジャンルでは、いちばんありふれたや…

文学王 高橋源一郎

文学王 (角川文庫) 作者:高橋 源一郎 メディア: 文庫 小説の中の子供たち (略) 『小鳥の園芸師』に出てくる、架空の村の子供たちは、昔話の多くがじつはそうであるように、ひどく残酷です。だが、同時にひどく懐かしい気もするのです。それは、この作品に…

生還 小林信彦

脳梗塞になった状態で書かれた前半の文章がなかなかに面白いというかコワイというか。果たしてこれはいつ頃書かれたものなのか。半年の病院暮しが終わった三週間後に自宅キッチンで転倒骨折し手術した頃に「週刊文春」で初回が掲載されている。 「生還」を書…

MELOPHOBIA 安川奈緒

MELOPHOBIA 作者: 安川奈緒 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 2006/12 メディア: 単行本 クリック: 90回 この商品を含むブログ (10件) を見る 玄関先の攻防 1 「おまえがかつて見たものを俺が見ることはないということには耐えられない」 避けたかった豚の…

霧中の読書 荒川洋治

霧中の読書 作者:荒川 洋治 発売日: 2019/10/02 メディア: 単行本 アーサー・ミラーの小説 [『存在感のある人』は]八五歳を過ぎて書いたものだが、印象はとてもみずみずしい。 (略)次は「パフォーマンス」。ユダヤ人のタップダンサーのもとに、ナチスの高…

見田宗介対話集 山田太一、吉本隆明

超高層のバベル 見田宗介対話集 (講談社選書メチエ) 作者:見田 宗介 発売日: 2019/12/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) 山田太一 『大航海』1995年8月掲載 母子関係と日本社会:「オウムを生んだ母子関係の力学」 山田 見田さんは、お母さんはご健在です…

書評稼業四十年 北上次郎

書評稼業四十年 作者:北上 次郎 発売日: 2019/07/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 傍若無人な大森望が鏡明には あまりに話が飛びすぎてしまった。作家とは会いたくない、という話である。それは、会ってしまうと批判を書きにくくなるということなのだが…

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本 作者: 山下泰平 出版社/メーカー: 柏書房 発売日: 2019/04/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『社会と文学』 当…

10セントの意識革命 片岡義男

1970年8月から 1973年8月までに書かれた文章。 10セントの意識革命 作者:片岡義男 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2015/01/31 メディア: 単行本 なぜいま一九五〇年代なのか アメリカの一九五〇年代のなかでおこったことがらのうち、ぼくと密接につながっ…

ブローティガン『東オレゴンの郵便局』翻訳比較

[投稿したはずだが、消滅しているので再度投稿] 平石貴樹が「アメリカ短編ベスト10」を選んで自身で翻訳してるのだけど、その中の「東オレゴンの郵便局」が藤本和子訳と印象が違うので、比較のために並べてみた。長文なので引用括弧はなし。『東オレゴン~』…

洋書天国へようこそ 宮脇孝雄

洋書天国へようこそ?深読みモダンクラシックス 作者: 宮脇孝雄 出版社/メーカー: アルク 発売日: 2019/07/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 『さらば愛しき女よ』レイモンド・チャンドラー ミステリの世界では、このハードボイルドは長いこ…

歌謡曲が聴こえる 片岡義男

一世代前で素材が歌謡曲でもなんとなく春樹の先駆け感が出てる第一章。第三章は橋本治に先駆けてか。 歌謡曲が聴こえる (新潮新書 596) 作者: 片岡義男 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/11/14 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 第一…

本当の翻訳の話をしよう 村上春樹 柴田元幸

本当の翻訳の話をしよう 作者: 村上春樹,柴田元幸 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング 発売日: 2019/05/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 帰れ、あの翻訳 村上 ジャック・ロンドンはリバイバルの価値があると思います。僕、昔から好き…

総特集◎橋本治 ユリイカ 2019年5月臨時増刊号

ユリイカ 2019年5月臨時増刊号 総特集◎橋本治 作者: 橋本治,高野文子,高山宏,さやわか 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2019/04/12 メディア: ムック この商品を含むブログを見る “小説家”とうい在り方 俺は文学者になりたいという気も小説家になろうという…

1913 20世紀の夏の季節 その2

前回の続き。 1913: 20世紀の夏の季節 作者: フローリアンイリエス,Florian Illies,山口裕之 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/12/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 2月扉文 マルセル・デュシャンが『階段を下りる裸体No.2…

1913 20世紀の夏の季節

1913: 20世紀の夏の季節 作者: フローリアンイリエス,Florian Illies,山口裕之 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/12/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 各章の扉文からして「こりゃ、読むでしょ!」って感じ。 1月扉文 こ…

公開性の根源—秘密政治の系譜学・その2

前回の続き。 公開性の根源?秘密政治の系譜学 作者: 大竹弘二 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2018/04/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 王の二つの身体、『エイコン・バシリケ』 政治神学は支配に正当性を付与するために、主権者…

現代詩手帖特集版 高橋源一郎

再読。 現代詩手帖特集版 高橋源一郎 作者: 高橋源一郎 出版社/メーカー: 思潮社 発売日: 2003/10 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (19件) を見る 討議 高橋源一郎×加藤典洋(司会:永江朗) 『さようなら、ギャングたち』 …

再読:柴田さんと高橋さんの小説の読み方・その2

前回の続き。 柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方 作者: 柴田元幸,高橋源一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2009/03/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 4人 クリック: 240回 この商品を含むブログ (53件) を見る 片岡義男…

再読:柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方

以前にやってるけど再読。なんてザルなんだオレの記憶。 柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方 作者: 柴田元幸,高橋源一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2009/03/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 4人 クリック: 240回 こ…

Haruki Murakamiを読んでいるときに~・その2

前回の続き。 Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち 作者: 辛島デイヴィッド 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2018/09/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 新たな出版社を求めて [プリンストン大の知人の紹介…

Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち

Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち 作者: 辛島デイヴィッド 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2018/09/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 翻訳を持ち込んだバーンバウム [KI(講談社インターナショナル)…

筒井康隆、自作を語る

筒井康隆、自作を語る 作者: 筒井康隆,日下三蔵 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/09/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 江戸川乱歩 [家族で同人誌は話題になるだろうという戦略で〈NULL〉創刊。月収1万の…

書き出し「世界文学全集」 柴田元幸

柴田元幸の解説の方を主に紹介。 書き出し「世界文学全集」 作者: 柴田元幸 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2013/08/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る エドガー・ハントリー――夢遊病者の回想録 チャールズ・ブロックデン・ブ…

代表質問 16のインタビュー 柴田元幸

一度読んでいる(kingfish.hatenablog.com)のだが、読んだ記憶がないところがあったので、また読んでみた。代表質問 16のインタビュー作者: 柴田元幸出版社/メーカー: 新書館発売日: 2009/06/19メディア: 単行本 クリック: 25回この商品を含むブログ (20件)…

アメリカ小説を読んでみよう・その3

前回の続き。アメリカ小説を読んでみよう (植草甚一スクラップ・ブック)作者: 植草甚一出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2005/04/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 現代アメリカ文学の冒険 佐伯彰一・丸谷才一の両氏と (後半) [ポーラ…

アメリカ小説を読んでみよう・その2

前回の続き。アメリカ小説を読んでみよう (植草甚一スクラップ・ブック)作者: 植草甚一出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2005/04/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る なぜ十九世紀アメリカ文学が読みたくなるのだろう アメリカ文学を研究す…