久々に帰ってきた中原昌也式(色んな小説からサンプリングして中原昌也っぽくなるかという試み)。
kingfish.hatenablog.com
今回は下記の本からの引用を順番に並べただけ。しかも中原昌也っぽいかもビミョウ、そもそも中原昌也っぽいって、ナニ。
- 作者: コーマックマッカーシー,Cormac McCarthy,黒原敏行
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 文庫
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彼はこの世界には何かが欠けていると思いあるいはそこにいる自分は本来の自分ではないと感じて、馬を見つけるまでは何時までも何時までも必要な限り捜し続け見つけたときにはこれこそ自分の求めていたものだったとただちに知ることだろう。
おれはちょっと頭が狂ってたんだろう。いつもじゃなく時々はな。
おまえは自分の葬式にも遅刻するだろう
この前飯を食ったのはいつだ?
こないだだよ。
例の天国はどこにあると思う?
たっぷりいろんなものがあるんだろうな。
彼らは北の斜面の急速に寒くなっていく青い影の世界を降りていった。
おれは心配はしてないよ
今まで食ったなかでいちばん変なものは何だ?
どんな味がした?
だいたいあんたが想像してるような味さ。
嵐から逃げ切るなんてできないんだ
まっすぐこの国から飛び出していくんだ
背後から雨が幻の流浪の民のように近づいてくる音が聞こえた
おまえ、どのくらいここにいたいと思ってる?
百年ぐらいだ。もう寝ろよ。
たぶんおまえのいうとおりだろうな。
だからってどうにもならない、そうだろ?
暗い色の肉でできた心臓が誰の意志でか鼓動し血液が脈打って流れ青みを帯びた複雑な内臓が誰の意志でか轟き頑丈な大腿骨と膝と関節の処で伸びたり縮んだり伸びたり縮んだりする亜麻製の太い綱のような腱が全て誰の意志でか肉に包まれ保護されて、蹄は朝露の降りた地面に穴をうがち頭は左右に振りたてられピアノの鍵盤のような大きな歯の間からは涎が流れ熱い眼球のなかで世界が燃えていた。
おれだって気分はよくならないさ。ただ、おれはおまえに忠告しようとした。それがいいたいだけだ。なんべんも忠告しようとしたんだ。
おまえはこの町が好きか?
べつにきらいじゃない。
ここはとても穏やかな町だ。この町には穏やかな人々が住んでいる。誰もがいつも穏やかだ。
この世界の根底には欠乏と暴力という基盤がありそこでは徹底した平等の原則のもとに全ての個人がためらわずに人が殺せるかどうかというただひとつの物差しで測られるのだった。二人は眠り朝がくるとまた同じことが繰り返された。
こんな場所があるとは知らなかったよ。
たぶんこの世にはどんな場所だってあるんだろうさ。しかしこういうのだけは想像もしてなかったよ。
砂漠のどこかで雨が降っているようだった。