2013-01-01から1年間の記事一覧

新訳 初期マルクス・その2

バウアーの課題 政治的解放の限界 福音書 「革命的実践を正しい関係の〜」についての解説 前日のつづき。 的場昭弘による「ユダヤ人問題によせて」解説編。訳と解説が交互するので、区別できるように、冒頭に[訳]と[解説]をつけました。 新訳 初期マルクス――…

なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか

なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか。 新訳「ユダヤ人問題に寄せて」 国家の宗教からの解放は、現実の人間を宗教から解放するということではない 自由という人権は政治的生活と闘争に入るや権利であることをやめる 的場昭弘による4ペー…

カフカと映画

映画というメディア 路面電車の力動性とヴァイオリンの響き 執筆のためのトランス状態 『失踪者』 カフカと映画作者:ペーター=アンドレ アルト発売日: 2013/03/22メディア: 単行本 映画というメディア 社会人となってからの最初の数年間において、カフカは定…

マスタースイッチ

歴史の浅い独占 AT&T帝国再建 宝の持ち腐れ チラ読み。順番を飛ばして、後半を先に。 マスタースイッチ作者:ティム・ウー飛鳥新社Amazon 歴史の浅い独占 台頭する独占企業を評価できる理由が一つある。ある一定期間に、圧倒的な利便性や優れた効率化、驚異的…

カール・シュミット入門講義・その3

自由主義 マルクス主義 『政治的なものの概念』からの引用 前日のつづき。 カール・シュミット入門講義 作者: 仲正昌樹 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/03/02 メディア: 単行本 クリック: 6回 この商品を含むブログ (14件) を見る 自由主義 シュミッ…

カール・シュミット入門講義・その2

「政治神学」 神を代理する存在「独裁者」 「決定主義」 人類そのものは戦争をなしえない 人類を口にする者は、欺こうとするものである 前日のつづき。 カール・シュミット入門講義 作者: 仲正昌樹 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/03/02 メディア: 単…

カール・シュミット入門/仲正昌樹

具体的秩序 ロマン派とポモ 90年代日本のポストモダン保守思想 政治的ロマン主義の問題 「実証主義+規範主義」 ボダン 高速パラ読み。 カール・シュミット入門講義 作者: 仲正昌樹 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/03/02 メディア: 単行本 クリック: …

カネと文学

薄利 サイドビジネス 文学バブル 文壇印刷会社 バブル以前 通俗小説も売れなかった カネと文学―日本近代文学の経済史 (新潮選書)作者:山本 芳明新潮社Amazon 薄利 [明治23年雑誌「日本之少年」]もうけは三厘から五厘。百冊売って、ようやく30銭から50銭の利…

日本ファシズム論争

1920年代後半のムッソリーニ・ブーム デモクラシーへの嫌悪 直木三十五の「ファシズム宣言」 秋沢修二・体制への抵抗としての全体主義 日本ファシズム論争 ---大戦前夜の思想家たち (河出ブックス) 作者: 福家崇洋 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 20…

「自然主義」と呼ばれた・その3 橋本治

『破戒』 国木田独歩の怒り 渋谷村の「ロシアの秋」 前日のつづき。 失われた近代を求めてII 自然主義と呼ばれたもの達 (失われた近代を求めて 2) 作者: 橋本治 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/03/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3…

田山花袋・26歳・童貞 橋本治

技巧ばかりを問題にする文壇は自然主義の重要性を理解していないと怒る田山花袋 「まだ口語文体によるろくな作品があまりない日本で、自分なりの独自性を持った作品を書く」 情熱の田山花袋が訴える「この恋が実らぬ理由」はとりあえず「貧富の差」 田山花袋…

「自然主義」と呼ばれたもの達 橋本治

二葉亭四迷は『平凡』 本家フランスより進んでいた前近代日本 日本自然主義文学を誕生させたのは島村抱月 なぜ『小説神髄』に若者は熱狂したか 「近代自我」は言文一致体の中から 言文一致体の完成 失われた近代を求めてII 自然主義と呼ばれたもの達 (失われ…

カフカとの対話・その2

こんな役所爆破!と口走った役人Sに対し 神 革命 支配 前日のつづき。 カフカとの対話―― 手記と追想 (始まりの本)作者:グスタフ・ヤノーホみすず書房Amazon 当時私は、彼がずっと以前に、猿の人間化を扱った『ある学会への報告』を書いていたことをついぞ知…

カフカとの対話

偽書批判についての解説 『変身』 神 デモ 表現主義の詞華集について 面白いけど、こんなにカフカとの対話を明確に覚えているものだろうかと思っていたら、解説によれば「<偽書という嫌疑>を内蔵した『対話』」らしい。(ついでにBL受けしそうな雰囲気全…

呉智英の吉本隆明批判が妄想全開

[追記:4/20 区別がつきにくいとの意見があり、とりあえず呉智英の文章のみ引用冒頭に[呉]を付けました] 第三弾、下記リンクからの続き。 kingfish.hatenablog.com いかに呉智英の『吉本隆明という「共同幻想」』がデタラメかを検証するために吉本本を延々読…

吉本隆明 宮沢賢治の世界

『銀河鉄道の夜』 「マリヴロンと少女」 独特の倫理観はどこから出てくるのか 欠点 この本で、「(こんなことは実に稀れです。)」というフレーズが挿入される[宮沢賢治 革トランク]とかヴォネガット先取り、斬新だわ。 「グスコーブドリの伝記」の創作メモ…

吉本隆明が語る戦後55年・第二回

「日本の歴史ブームをめぐって」(2000年) 歴史の進歩 『言語にとって美とはなにか』 「記録芸術の会」のもつ政治的意味の重要性 吉本隆明が語る戦後55年〈2〉戦後文学と言語表現論作者:吉本 隆明三交社Amazon 「日本の歴史ブームをめぐって」(2000年) 最…

福田恒存の「大衆」論、インテリ批判

「二つの世界のアイロニー」(1950年) 「文学者の文学的責任」(1951年) 「知識階級の敗退」(1949年) 「理想人間像について」(1947年) 「白く塗りたる墓」(1948年) 「民族の自覚について」(1949年) 「観念的な、あまりに観念的な」(1949年) 呉智…

吉本隆明はなぜ「マチウ書」としたか

「関係の絶対性」 「マチウ書」にしたわけ 芥川龍之介『西方の人』、太宰治「駆け込み訴へ」 オウム 終戦 吉本隆明は自分をエラソーに見せるためにフランス語使ったとか適当なことを書いている呉智英に教えてあげたいw 吉本隆明が語る戦後55年〈5〉開戦・戦…

吉本隆明 全対談集12

世界視線 「都市とエロス」出口裕弘(1986年) 「漱石的主題」佐藤泰正(1986年) 漱石の同性愛的傾向 文体 「定型・非定型の現在と未来」岡井隆(1978年) 「作家への視点」山田有策(1981年) 『吉本隆明 全対談集12』(青土社)「吉本隆明の現在」芹沢俊…

「仮面ライダー」プロデューサー自伝

大人のリアリズムはいらない 水木しげる「悪魔くん」 仮面の忍者赤影 仮面ライダー ライダーちょっといい話 東映TV特撮プロデューサー平山亨自伝。 泣き虫プロデューサーの遺言状~TVヒーローと歩んだ50年~作者:平山 亨発売日: 2012/11/28メディア: コミック …

吉本隆明「思想的弁護論」執筆理由

呉智英が吉本隆明批判本で「思想的弁護論」を例によっていい加減に分析して「おかしな思想を説く人」などと書いている件を後日検証するので、鶴見俊輔による「思想的弁護論」のまとめと、どのような状況で書かれたか竹内好との対談より。二つとも下記本に収…

吉本隆明、村上春樹のサリン事件解釈

「大衆の原像」 村上春樹のノモンハン事件解釈とオウム 非転向じゃなくて殺人罪 小林秀雄 丸山真男学派と橋本行政改革 「吉本隆明が語る戦後55年 12」「大衆の原像」の変化、「非転向じゃなくて殺人罪」と平野謙、村上春樹のサリン事件解釈批判、小林秀雄 吉…

吉本隆明が最後に遺した三十万字

『「反核」異論』 『マス・イメージ論』 『源氏物語論』 『超西欧的まで』 高橋源一郎 あとがき 1999年、江藤淳自殺後のインタビュー 2000年の吉本の執筆?状態 kingfish.hatenablog.com 上記に追加した完全版「吉本隆明が最後に遺した三十万字」上巻と下巻…

福田恒存「民衆の心」

民衆の心(1946年) 人間の名において(1947年) 「吉本隆明についていい加減なこと書いてんなよ呉智英」の流れで、「大衆の原像」とか「転向」に絡んで使えるかなあと、福田恒存を引用してみたけど、やっぱ使わないかな。入力が大変なので旧漢字を新漢字に…

吉本隆明が語る戦後55年

60年安保闘争と『試行』創刊前後 「理念と実践の一致」への不満 ナショナリズム 農業問題 村上一郎 前日につづき、あれをファシズムとすることにずっと引っ掛かっていた吉本隆明という話。 吉本隆明が語る戦後55年〈1〉60年安保闘争と『試行』創刊前後作者:…

大西巨人、吉本のマス・イメージ論に面食らうの巻

素人の時代(大西巨人との対談・1982) 農本主義はファシズムじゃない 吉本隆明が大西巨人にマス・イメージ論を語っている対談集『素人の時代』について、呉智英が「とりたてて素人の時代を論じたものではなかった」とノンキな事を書いて、大衆マンセーでボ…

呉智英の吉本隆明批判本が雑すぎ!

kingfish.hatenablog.com 上記の続き。 呉智英は吉本隆明、小林秀雄、花田清輝が難解文で自分達をエラソーにみせてる奴等であると雑に論じている件を検証。 一応予備知識としてこちらを(→kingfish.hatenablog.com)先に読んでいただくと、呉のいい加減さが…

吉本隆明と小林秀雄

小林秀雄の方法(昭和36年) 『本居宣長』を読む(1978) 『悲劇の解読』 小林秀雄賞受賞について(2004) 呉智英がせこい印象操作で吉本隆明と小林秀雄を結び付けていい加減なことを書いている本を後日検証するのですが、その前に吉本による小林秀雄論&イン…

文藝別冊・さよなら吉本隆明

鮎川信夫 固窮の人(1969) 鹿島茂「幸福追求の徹底的肯定者として」 友常勉 私的短歌論ノート 呉智英が吉本隆明は難解文で意味ありげに見せてるだけとか、適当な事を言ってる件についてそのうちまた検証するけど……。 さよなら吉本隆明 (文藝別冊/KAWADE夢ム…