再生YMO時のズレ

前日の続き。

細野 ほかの2人はアシッドからアンビエントに至るような、そういうアンダーグラウンドな流れをそれほど聴いてなかったんですね。教授はニューヨークに住んでいたんで、アメリカっていうのは、そういう情報が入ってこないんです。
(略)
最初、僕はプロデュースを2人からお願いされたかたちだったんです。たぶん僕を引っぱり込むための方便だったんだと思うんですけど。それならば、自分なりの組み立てが自由にできるかなと思って考えてたんですね。アンビエントとかアシッドとか、そういう新しい流れのテクノの可能性を、YMOならどうできるかという。だけど政治的なことだと思うんですが、降ろされたというと大げさなんですけど。

坂本 (略)[有機的なものから]もう一回、ハウス、テクノ的なものに振られていたところでね。僕がニューヨークにいて、細野さんはドイツのテクノが基準になっていて、その摺り合わせがあまりうまくいかなかったと思いますね、あれは。

坂本 僕はけっこう言ったんです、フランクに。例えば細かい話、テクノとかハウスの様式だったら、あの91、92年っていう時点だと、絶対に[ヤオヤ(TR−808)]は使わないんです。ヤオヤを使ったらR&Bになっちゃうから。でも、平気で使うんですよ、ヤオヤを。
 ちょうどニューヨークに引っ越してきて2、3年のころでね。誰に聞かせるのか、どこで聞かせるのかって、マーケットの対象が、ニューヨークだとハッキリ見えるわけですよ。ハウスとかテクノっていうのも極端な話、例えばBPMをちょっとずらすだけで、別の名前が付くような音楽ですから。それをマーケットにいる普通の人々は、普通に聞いてわかるわけだから。(略)
コンガひとつとっても、このパターンだったら黒人マーケット、このパターンならプエルトリカンって、マーケットがハッキリ決まっちゃうわけですから。(略)
本当にニューヨークのクラブシーンで売ろうと思ったら、そういうことが必要なわけでしょ。そういう思考回路は、なかった感じでしたね。

Yellow Magic Orchestra

Yellow Magic Orchestra

クラフトワーク

坂本 クラフトワークは、たぶん僕が持ち込んだと思うんだけど、それで2人ともすぐに好きになって。(略)
 だけど、クラフトワークとそっくりなのをやってもしようがないし。まず音色が違う。彼らはドラムもパッドでやってるけど、スネアの音が変わるんですね、一定じゃないの。ベロシティなんて全然ないころだから、これどうなってるんだろうって。音色のことにはかなりこだわってて、YMOの1枚目、2枚目のころまではずっと研究していましたね。

未だに腑に落ちてないスネークマンとの合体

坂本 僕にはきちんとした説明がなかった。幸宏・細野連合みたいなのができちゃって。そういうものに対する反発があったので、スネークマン・ショー自体はとても過激で面白いものだと思ったけど、YMOといっしょにやるってことは、違うんじゃないかっていう気持ちが強かったですね。「写楽祭」も成り行きでやることになっちゃったけど、僕はすごく退いてたんですよ。『増殖』に対しても。だから「写楽祭」で怒鳴ったっていうのは、ただ近視眼的にパッと頭に来て、ただ怒鳴ったわけじゃなくて。(略)
ようするに、なんでこんなことをやるのかわからないっていう。でも結局、やるからには楽しみたいじゃない。それで女装かなんかしてラヴェルとか弾いてるんだよね。そうしたら客がワーッて怒り出したから、「うるせー、この野郎!」って。女装してるのも忘れて怒鳴ってるから、客にしてみれば、なんかデッカい女が怒鳴ってるぞって(笑)。
(略)
だって、桑原茂一が誰だとか、スネークマン・ショーが何かとかって、全然知らないんだから僕、その時点で。(略)
全然腑に落ちてないんです、いまだに(笑)。
[対立回避のために説明不足になった件]
あえて喋らないと。坂本は反発はしてるけど、こういうお題を与えれば、こういうものがでてくるっていうのはわかってるだろうから、最小限のコミュニケーションでやってるというね。だから、細野さんもずいぶん苦しかったと思うんだ。こんな荒っぽい男をさー。こんなはずじゃなかったとか(笑)。

ハッピーエンド

 ――「ハッピーエンド」っていうタイトルは、ひょっとしてクルト・ワイル?
坂本 いや、細野さんへの嫌がらせかな(笑)。
(略)
3人ともツアーでものすごく精神的に参っていたから、「ハッピーエンド」は、もう辞めてもいいんじゃないっていうような気持ちを投げたんじゃないかな。

Black Sea [2001 Reissue]

Black Sea [2001 Reissue]

XTCブラック・シー』のドラムサウンド再現しようと試行錯誤

坂本 結局、あれは(リヴァーブではなく)スタジオの鳴りなんだっていうことが、だいぶあとになってからわかりましたけど。普通のスタジオと違って、反響するように壁に石が貼ってあって、バコバコのお風呂みたいにして、ドラムスにコンプレッサーをバリバリにかけて伸ばして、それを切るっていう。

ザ・フライング・リザーズ/フォース・ウォール

ザ・フライング・リザーズ/フォース・ウォール

『BGM』

坂本 ずいぶん主張が離れていたとはいえ、たぶん細野さんなんかと、だいたい同じようなものを聴いていたわけです。デヴィッド・カニンガムなんかが好きで、それで細野さんが、ティアックの8チャンネルで(ドラムの録音)をやりたいって言い出して。(略)
それは違うんじゃないかと。本当に自分の家のベッドルームで、ロンドンの貧乏なアーティストがやるならいいけど、あんなアルファみたいなゴージャスなスタジオに、それらしきものを持ち込んでやるっていうのは、おかしいんじゃないかと。気分が乗らなかったのを覚えてますけど、反対すると喧嘩になってしまいますので、ふてくされて何も言わなかった気がしますけど。

The Very Best of Ultravox

The Very Best of Ultravox

CUE

 ――あれってウルトラボックスですよね。
坂本 それに対して、僕は本当に批判的だったのね。ティアックの8チャンネルの話に劣らず、「ここまで真似していいわけ?」っていう。これはやっちゃいけないんじゃないのって。
(略)[UKシーンの共鳴という細野の主張](略)
それは当時も言っていましたね。ロンドンから投げかけられるものに対する、好意のレスポンスだって。それはわかるけど、同じじゃんっていう。

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(売れた細野さんが最初にしたこと )
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