- 作者: 宇多丸,高橋芳朗,DJ YANATAKE,渡辺志保,NHK-FM「今日は一日“RAP"三昧」制作班,
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2018/10/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「Rapper's Delight」
の大ヒットを知ったシックはどうしたか
[バーナード・エドワーズ談]
「『確かにかっこいいな』と感じたから、別にいいんだよ。ただ、一声くれるかな?」[とシュガーヒルに電話したら](略)
「はあ?オリジナルですけど?」みたいなことを言われてしまう(笑)
『ワイルド・スタイル』が世界で一番早く日本公開された訳。
『人間の証明』ブロンクスロケをコーディネイトをした葛井克亮がヒップホップの盛り上がりを目撃。
「何だ、これは?いったいこれは何で盛り上がっているんだろう」(略)
のちにカンヌで(略)[バイヤー向けに]出品されているのを見て、「あっ、あのときブロンクスで流行っていたあれだ!」[と即買付け]
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スネークマンショー
「咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3」
[「Rapper's Delight」をNYで耳にした]桑原茂一さんが、「番組でもこんな感じの曲をやろう!」と。(略)
[サンプラーもない時代、「Good TImes」の冒頭部を]
テープを切り貼りして、輪っかを作ってトラックのループとした。
[それが80年初頭](略)
言ってみればヒップホップは、1980年代初頭にはほぼリアルタイムで日本に輸入されていた、ということなんですよ。
Schoolly D 「P.S.K. What Does It Mean'」
高橋 「Park Side Killers」。スクーリー・Dが所属していたギャング集団の略称です。
(略)
宇多丸 (略)なんと言ってもこの深いリバーブ。TR-909の重厚なビートに加えて、深いリバーブがかかっている(略)
[レコーディングがわかってない元ギャングがちゃんとしたスタジオを借りたら]
本当のリバーブ板があったわけです。鉄のでっかい板を「ビーン!」と弾いて使うやつ。(略)
で、ガンガン、デカい音でそのリバーブ板をバンバン揺らしてやっていたら、そのスタジオのオーナーがすっ飛んできた。(略)「そんな音量で鳴らすもんじゃない!」みたいな。(略)
[酒とヤクでぶっ飛んで作って]
「翌日目が覚めて、ビートを冷静に聴いてみたら、ヤバいのが出来ていた」
いとうせいこう
やっぱりポップスをずっと聴いていたから、「AB、AB、CCC……」とか行をまたいで韻を踏むのが普通だと思ってた。
「AA、BB、CC、DD……」というのはもはや子どもの踏み方なんですよ。それをやっちゃうことがおそらく暴力的でかっこよかったんだろうけど、僕にしてみたら「えっ、この韻は別に真似しないでもいいな……」と最初は思っていた。(略)
[『建設的』で]藤原ヒロシに、「ヒロシ、これ韻を踏んだ方がいい?」って聞いたら、「踏まなくていいんじゃない?」って答えたのをよく覚えているの。(略)
[それでも]お決まりだから、サビの部分だけは入れとこう」って入れた
(略)
[『MESS/AGE』では]
むしろ複雑に踏んで。頭韻を踏むとか、中間韻を踏むとか、脚韻を踏むとか、いろいろなやり方をやってみようと。
(略)
[困ったのは、「~です」と最後に意味を決める日本語だと韻を踏みにくい。「~でない~」と]
倒置法を延々と繰り返すことになる。(略)
[それに当時の客にはついてこれなかったが、30年後の現在]
若い子たちが倒置法の使われているラップの歌詞を、みんな理解する[ことに驚愕]
(略)
[最近のラッパーでは誰がと問われ]
Bose インタビュー
「今夜はブギー・バック」のヒットは事故
Bose そうだね。事故ですよ。
宇多丸 あ、事故ですか?
Bose 事故だと思いますよ。
宇多丸 (略)[元ネタは]ナイス&スムースというグループがいて。歌と、ちょっとチープな感じのトラックの。
Bose 小沢くんものちのそのことを、「あれはスチャダラが『ダサくてかっこいいものを作ろう』と誘ってくれて……」と言ってくれたんだけど。それって、普通の人にはわからないと思うんだよね。ナイス&スムースをアメリカ人の子どもたちや若い女の子たちが「キャーッ!」って言っている感覚はやっぱりわかりづらいかな。普通だったら、「これ、ギャグでしよう?」って(笑)。
宇多丸 ナイス&スムース。要は、ちっちゃいおじさんと背の高いおじさんが……フハハハハッ!
Bose すごくかっこよさげに「俺はすごくイケてて……」って歌ったりラップをしていたりという。
宇多丸 っていうのを、へタウマな感じの歌と、チープなトラックと……なんか、たまんない感じね!
Bose あれがヒップホップのいわゆる核となる魅力だと思うんだけど……あれって日本人からだと、やっぱりややメタな視点で見るしかないじゃん!(略)
だってあれをガチで「かっこいい」って、難しいじゃない?
宇多丸 着てる服とかね。まあ俺はもうその時代は見失っていたんで、本当にかっこいいと思っていたけど(笑)。
Bose 本当に?!(笑)。だってテロンテロンのさ、サテンみたいなさ……。(略)
宇多丸 黄色と緑のジャージで、背景がなんかくすんだブルーのジャケで……みなさん、検索してみてください。
Bose 見てください。言ってもアクの強いギャルに囲まれた……なんかあれ、わかりにくいと思うんですよ。
宇多丸 顔のヒゲを剃っていないギャルたちに……(笑)。(略)
Bose 「ダサくてかっこいい」としか捉えようがなかったんだけど。それをでも、「なんとか、面白くできないかな?」ってアイデアが「今夜がブギー・バック」の元だから。
僕らが書いた歌詞を受けて小沢くんも「プッシーキャット」みたいな普段は絶対に使わない言葉を使うとかさ。(略)
ありえない歌詞を使って、面白いものを作ろうとしたんだね。
宇多丸 じゃあわりと、遊びじゃないけどもキャッキャ言いながらやっている感じですか?Bose そう。本当だったら、自分たちの歌詞だともう少しシリアスな方向もありえた。かっこいいだけの曲もありえたんだけど、やっぱり歌詞に関してお互いに無責任になれる部分もあったかな。
(略)
Bose (略)でもさ、別にスタートダッシュが良かったわけじゃなくて何段階かで……小沢くんの人気もあったろうけど、「実は○○のラジオですごく……」って。それこそ地方のFMとかで、「バンバン、バックが来ています」って。そういうのが続いたから、「ええーっ?」って思って。(略)
だけど……「いや、頼む!本当はもっと不良みたいなラップが先にいてからの……」って(笑)。
宇多丸 「それが売れてからのこれ、ならいいんだけど……」って。(略)
宇多丸 「最初にデ・ラ・ソウルが売れるのは、ちょっとおかしいんだよ!」みたいな(笑)。
Bose 「そんなの、世界的にないよ!」って。
(略)
悪い不良みたいなラップがあってのカウンターで、オタクみたいなのが変なことを言っているラップをやりたかったの。
雑誌「Fine」
宇多丸 最初に僕が、キングギドラのデモテープをもらったのは、93、94年ぐらいだと思うんですよね。
ジブラ そんなもんですね。俺が覚えているのは、当時「Fine」って雑誌がありましてね。
宇多丸 当時、日本のヒップホップの最新情報は、音楽誌ではなく、サーファー向けファッション誌「Fine」が引っ張っていたんですよね。
(略)
てなところまでで半分くらい。
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