「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」 松尾豊

[表記のないものはすべて松尾豊の発言]

二つの流派

いまは人工知能に二つの流派ができています。一つは従来どおり、人開のような高度な知能、人間よりも賢い知能の実現を目指そうとする流れ。これは「強いAI」とも呼ばれます。もう一つは「弱いAI」。現状のテクノロジーでは高度な知能はできないとしても、普通のコンピューターよりはもう少し知的で、賢くみえるような仕組みを作っていくという方向です。

人工知能が急に賢くなってきたのはなぜ?

グーグルが世界のすべての情報を整理すると言っていますが、それに類するようなことを早い時期に表明していましたから。先見の明はすごいと思いますね。ただ当時はデータがなかった。
「意味」に近いところで知識を整理するとしても、データがないとプログラムは書けません。第五世代の当時、データがあればできたことは多かったはずです。それがいま、ウェブが拡がってきたことによって、ぼう大なデータが存在するようになった。それまでやりたかったいろいろな知識処理や人工知能的なアプローチが、ぼう大なデータの出現によって、現実に可能になってきたということだと思います。

人工知能はただの箱でもかまわない

松尾 人工知能は人間らしくする必要はありません。(略)
[ただの箱でもかまわない]
私が本当に怖いと思っているのは、社会を変えるような人工知能は、人間のような形をしていないし、ふるまいもしないことです。それはただただ単純に予測精度が高いものです。(略)
なぜその予測が出てくるのか人間には分からないが、とにかく精度は抜群に高いという存在ですね。
(略)
塩野 (略)機械のCEOが経営判断をして素晴らしい経営をしているけど、意思決定のプロセスは人間には理解できないような。
松尾 ええ。人工知能が持つ「怖さ」という視点では、現実的にはそちらのほうが先に起こりそうな気がします。
(略)
人工知能が「人間はいらないよね?」と考えるところですが、かなりとんだ話としては、実は人工知能学会でその方向の話題が出ていまして、「あなたは地球派? それとも宇宙派?」と聞かれましたよ。(略)
地球派はやはり人間が大事、人間が人工知能を使っていこうという立場。宇宙派のほうは、そもそも人間は人工知能を作るためにあったのだとする説をとる立場です。

ここまでが45頁(残り240頁くらい)。終了。
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