検察崩壊 石川知裕インタビュー

陸山会事件検察批判 小川敏夫 - 本と奇妙な煙

「小沢事件」の真実 - 本と奇妙な煙の続きみたいな感じで。
第一章の「石川知裕」インタビューだけ読んだ

検察が拘り、石川が抵抗した点

それは、小沢さんへの報告・了承の一点につきますね。(略)
[小沢関連五団体の収支は]いつも十二月の忘年会に行く前に報告します。収支報告書は三月に作って提出するのですが、そのときには報告なんてしません。だけど、田代検事や検察は三月にこだわるんです。録音記録にもあるように、田代検事は「もうめんどうくさいからどっちでもいいでしょ」という言い方をしていましたが、そうじゃないんです。最初は、三月にこだわる理由がわからなかったんですが、後で弁護士から、「収支報告書の作成・提出に小沢さんが深く関わっていたことにしたいからだと思いますよ」と言われて、ああそういうことなのか、とわかりました。
(略)
実際には、年末に今年どれくらい多くの方から献金をいただいたかが小沢さんの一番の関心事項ですし、収支報告書など見せたことはありません。自民党の大物政治家も、絶対に収支報告書なんて見ていないと思いますよ。
[そのことで小沢は批判を受けたが、多くの政治事務所の実態がそうだと思う]

反訳書の中でも、マスコミが言っている報告・了承と私が署名した調書の報告・了承は違う、と田代検事も言っていますけど、上司が納得してくれる程度で、しかも、小沢さんは起訴されない程度の[踏み込んだ]表現にしよう、そういうやり取りの中で作られたのが、まさに「小沢さんへの報告・了承」なんです。反訳書の中で言っている「色んな技をさずけて調書にした」というのも、そういうことなんです。田代検事自身が、そういう経過で供述調書を作って、私が署名したことを認めているのです。
(略)
[田代検事の言葉がグサっと心に刺さり思わず報告・了承を「激白」などということはなかった]
私は年末に大まかに収支を報告したということを言っていただけです。田代検事も、それはわかってくれていたのです。後は、どういう調書にするのかということに関して、上司がどうのこうのとか、この程度なら小沢さんは起訴されない、とか言って私を説得していただけです。
(略)
[では「貴方は11万人以上の選挙民……」「ヤクザの手下が親分を守るため……」という話はどこから]
間違いなく、田代検事と特捜部の上司との間で創作したのだと思います。(略)
[「11万人以上の選挙民」と言い出したのは]勾留10日目から取調べに来るようになった吉田副部長なんです。吉田副部長からは小沢さんへの報告・了承のことは聞かれていません。水谷建設からの裏金のことばかりです。
(略)
なぜ「11万人の選挙民」というのが吉田さんのセリフだと明快に覚えているかというと、吉田さんが取調べ中に泣きだしたんですよ。「僕は恥ずかしい。11万8655人からあなたが信用を得て当選しているのに、なんで本当のことを言ってくれないんだ」と。私は恐ろしくなりました。水谷建設から裏金もらったなんて、全くありもしないことです。こんなありもしないことを認めさせて落とすために泣くのか、これはすごいなあ、と思いました。吉田副部長が泣いてますから、こっちもそれに対抗して、ということでもないんですが、その場で、土下座して、「5000万は断じてもらっていません。もう勘弁してください」と言いました。
(略)
[「ヤクザの手下が……」という話はどこから]
 確かに、田代検事と雑談の中でヤクザの話をすることはあったのですが、それは弁護費用の話なんです。
(略)
[田代の体験談から]ヤクザの話になって、ヤクザ屋さんというのは、子分が捕まったら、親分が裁判費用まで全部出して面倒をみるんだ、それはどっかの事務所と同じだよね、という話があったんです。「だから、小沢事務所も同じじゃない、ヤクザじゃない」と言われました。(略)
こっちもいきなり逮捕されて、私自身、自分で弁護士を探したかったんですけど、なかなか見つからなくて。でも、田代検事にそれじゃヤクザと同じだというようなことを言われたので、私は、出てから自分で弁護費用を払おうと思ったんです。その後、本当にありがたいことに1000万円以上カンパがきて、それを全部、弁護費用にあてています。

「なんでも事件にできちゃう」という脅し

[取調べ冒頭で]「鈴木宗男さんみたいに徹底的にやってると、こっちもやってやれないことはないからね、なんでも事件にできちゃう」というのは効きましたね。
(略)
ここまでなら絶対に小沢さんは起訴にならないから、ここまでは認めてくれ、と言われて調書に署名したことが、実際には検察審査会での起訴相当議決につながっているわけです。
(略)
ただ、田代検事との間には、検事と被疑者との間での不思議な信頼感があるんです。逆にここで翻しちゃった方が、強制起訴の可能性が高いと言われると、そのように思ってしまうんです。ですから、ものすごく悩みました。
(略)
だから、ここで二回脅されているんですよ。徹底抗戦やれるもんならやれ、六月には国会終わるだろう、そうしたら再逮捕だってできるぞ、というのが一つ。
(略)
[もう一つが、議員辞職するという内容の調書を公判に出す話]
再逮捕はやっぱり恐れましたね。とにかく水谷みたいに、何も煙のないところから火を出している人たちですから、やれるものならやってみろ、こっちもやってやるぞと言われると、何もないからできないかというと、やはり、やれちゃうんじゃないか、みたいに思えてくるんです。
(略)
 もうびっくりしましたよ。そんなお金、絶対に受け取っていませんし、田代検事の取調べでも、吉田副部長の取調べでもずっとそう言い続けてきた。反訳書にも出てくるように、田代検事も、5000万円受け取っていないことは信じてくれたし、吉田副部長もそう思っていると言ってくれた。ところが、全然違うところで、私が会ったこともない木村検事が、5000万円が水谷から私に渡った事実があるなんて捜査報告書に書いて、検察審査会に出している。信じられないな、と思いました。