英文法のエッセンス

助動詞(can may must will shall)

このような助動詞は話者が心の中で考えている「予測」や「希望」「可能性」などを表現するのです。

 「話者が考えていること」とは、「客観的な事実でない」ということです。いま挙げた助動詞を用いた例文には、「実際に彼が仕事を終わらせるかどうかわからないが、おそらくそうなるだろうと思う」という含みが共通にあります。

 この「~だろうと思う」という確定した事実を表さないところから、助動詞は未来的なニュアンスを帯びてきます。

(略)

助動詞 can の語源的な意味は「知っていた」で、「~の方法を知っていた」から 「~することが可能だ」という意味になりました。この「可能」という意味から、「できる」という 「能力」、「してよい」という 「許可」、そして「ありうる」という「可能性」を表します。

(略)

must と have to

 「~しなければならない」と同じように訳せても、 must と違い have to は「外的な事情による必要義務」を表します。 それは、「have (現在形) + to 不定詞」の have  が動詞の現在形であり、「客観的事実」を表明しているからです。

(略)

 簡単に言えば、 I must study English. は 「英語を勉強しなければならない」と話者が思っているのに対し、 I have to study English. は、たとえば、宿題やテストがあるから「英語を勉強する必要がある」ということです。have to は客観的事実として必要があることを述べる表現なのです。

shall

 「罪・負債」が語源的意味である shall は、「義務」や「必要」を意味するようになりました。 そこから、shall は主語以外の「意志」や「意向」、とりわけ話者の「意志」や「意向」を表します。たとえば、 He shall go now. は 「(彼の意志にかかわらず) 彼にいま行ってもらおう」という意味であり、コンテキストによっては「(私は)彼をいま行かせよう」のように話者の意志が強く込められることにもなります。

(略)

shall には運命的なニュアンスもあります。I will return. (私は戻るつもりだ)とは違って、自分の意志にかかわらず戻る運命にある、自分の意志を超えた何かに動かされているというニュアンスが強く感じられます。

should と had better の違い

 should はふつう「~すべき」と訳します。(略)語調が少しきつい感じがするので(略)あまり他人に向かって使わないほうがいいように感じられます。しかし、実際は逆です。

 should は助動詞なので「話者の主観」を示しており、shall に比べると should は実現の可能性が低いわけですから、You should go. という表現をあえてその含みまで一緒に訳すと「実際問題としてあなたがそうするかどうかわからないけれども、あなたが行くことになるのではないだろうか、と私は思っています」といったような遠まわし (婉曲) 表現となり、相手を不愉快にさせるような意味にはなりません(言い方や、顔つき、動作などの言語外の要素は除外します)。一般的に、遠まわしの言い方は「丁寧」な表現になります。

 それに対し、 You had better go. という文には「あなたは行ったほうがいい」という柔らかな日本語訳とは裏腹に「警告」や「脅し」、さらには「命令」的なニュアンスがあります。そこには「行かないとひどい目にあうかもしれない」という怖い含みがあるのです。日本語訳から should と had better を使い分けていると誤解を招きかねません。