田舎暮らしに殺されない法

職業柄「センセイのように田舎暮らしを」が耳タコであろう丸山健二が、退職したら田舎でソバ打ちキボンヌな都会メディア業者に喝なのか?都会で一人前気取りのオマエも田舎の脅威の前にはただのガキでしかなく孤独と無力感に襲われるだろう。
甘い幻想を打ち砕く意図による誇張があると思われ(特に不審者撃退法のくだり)、話半分で聞いておくのが上策かと。

田舎暮らしに殺されない法

田舎暮らしに殺されない法

二束三文の土地をマヌケな都会人に売りつける

地元民が住んでいない土地は風光明媚でも危険な土地。
土地が安いといっても元々二束三文の土地、田舎暮らしに懲りて売ろうとしても値がつかず、マヌケな都会人に売りつけるくらいが関の山

 見晴らしのいい高台の、日当たりのいい南側の斜面という、客を釣りやすい不動産屋好みの条件のみで選んでしまうと、とんでもない惨劇に巻き込まれることも珍しくありません。崖崩れ、山崩れの発生によって命までも失う確率がぐっと高くなります。
 また、敷地内に山からの湧き水が流れ込んできているという立地条件がいたく気に入り、都会の友人を招待したときに自慢したくてそこに住むと、土石流にやられる心配があります。

騒音ストレスMAXの頃、山の中にでも行けば平穏が得られるかと真剣に引越しを考えたことがあったので、この話はなかなかショック

田舎の騒音

 やがて、揺るぎないはずの静寂からして幻想であったことを思い知らされることになります。田園地帯が静かなのは農閑期に限り、それ以外の季節はありとあらゆる農業機械のエンジン音によってかき乱され、朝早くから日没まで喧しい轟音に満たされ、米の乾燥機が立てる騒音などは夜通しつづくこともあるのです。
(略)[都会の喧騒より]田舎における騒音のほうがはるかに耳障りで、安眠を妨げるものなのです。静寂のなかの騒音というのは却って刺々しく感じられ、神経に障ります。
 農繁期などは、それはもう村全体が大工場と化してしまったかのような騒音に支配され、ありとあらゆる種類のエンジン音が入り乱れ、また、一定した調子の音波のほかに、害鳥や害獣を追い払うための爆音機の断続的な音まで参加するに及んで、静けさを望んでやって来たあなたにとっては苛立ちの日々の幕開けとなるでしょう。
 美しい青空には農薬散布のためのラジコンヘリが日の出前から飛び交うようになり、軍事基地へ引っ越してきたわけではないのにと怒ってみても、田舎において騒音を取り締まるような気の利いた条例などあろうはずもなく、ひたすら耐え忍ぶしかありません。

田舎に流れてきたエコロジーNGOヤングは食わせ者

自然が大好きだから。(略)
エコの原点に立ち返りたいから。(略)
 あなたが尋ねたわけでもないのに、先方からそんな理由を並べ立てる者はまず相手にしないほうがいいでしょう。かれらは地味でまともな仕事に就かずに、目先だけで世渡りをしようとする、そのくせ大義名分だけは欲しがる、狡猾な横着者です。
(略)[村起こしを]提案をし、このままでは村や町が消滅してしまうと危機感を煽り、予算が下りたりスポンサーが付いたりしたところでその活動の主導権を握り、いかにもそれらしく振る舞いながら、遊び半分で食べてゆこうとする輩も少なくありません。
(略)
 立て板に水の語り口調。豊かな表情。底抜けに明るく、翳りのない笑顔。どんなくだらない自慢話にも熱心に耳を傾け、さかんに相槌を打つ聞き上手。ドラマチックに過ぎる経歴。強いナルシシズム。屈折した性格、居直るときのふてぶてしさ――。
 かれらは、田舎巡り専門のプロの詐欺師とは異なり、犯罪の意識や自覚というものをほとんど持っていません。自分が得々と語っている話の内容を自分でも心底から信じきっている節が見受けられ、嘘とホラと真実を巧みに織り混ぜた、いかにも絵になる話を熱く語りながら恍惚とした眼差しをしており、あたかも自分がドラマの主人公でもあるかのような錯覚に酔い痴れています。

森の中の暮らし

 まずは、湿度の高さに驚くことでしょう。ひとえに日当たりの悪さによるものです。洗濯物が乾きにくい。布団が干せない。微が生える。ダニ退治に苦労する。

妥当な選択は別荘地

と、散々脅かしたところで、著者の示す妥当な選択とは別荘地

道路や電気や水道はむろん、清潔な下水道も整備され、都会人の好みに合わない樹木は排除され、代わりに白樺や桜のような絵になる木々が植えられ、管理事務所には一年を通じて係の者が常駐し、何か困ったことが起きたときにはすぐに駆けつけてくれ、雪国の場合には除雪作業までやってくれるのです。管理費は取られますが、便利さには代えられないでしょう。
 そしてそこでは、地元住民とのべったりとした煩わしい付き合いに閉口することもなく、よそ者扱いを受けることもありません。
[しかし安物買いでいい加減な管理の別荘地を買うとたちまち荒地と化し、不動産屋は倒産し文句も言えず]

  • おまけ

鍬形マギーK斎

KEISAI RYAKUGA

KEISAI RYAKUGA

  • 作者:鍬形蕙斎
  • 発売日: 2004/09/01
  • メディア: 単行本
1800年のラッキーちゃん
[クリックすると大きくなるYO]

1800年の猫

  • 似てないシリーズ

全然似てないけど、何故か似ている。
のど自慢に出てた非「渡哲也」
もしくは浜ちゃん似の「渡哲也」