なぜ福知山線脱線事故は起こったのか

つまみぐい。

なぜ福知山線脱線事故は起こったのか

なぜ福知山線脱線事故は起こったのか

過密ダイヤじゃなくて緻密ダイヤ

過密ダイヤというのは、後続の優等列車が先行する普通に追いついて、その後ろをゆっくり走らざるをえなかったり、また普通だけが走る場合は、先行電車の停車時間が乗降客の多い駅で伸びたため、後続電車がその手前で信号待ちをしなければならなかったりする状況が多発するようなダイヤを指すのが一般的である。福知山線ではそのようになっていないから、過密ダイヤと言うのはおかしいのである。そもそも過密ダイヤでは100キロすら出せない。逆に言うなら、過疎ダイヤだからこそ126キロも出せたのである。

新快速がコンピュータ導入で遅れるように

ところが、最近は新快速がよく遅れている。遅れが目立ってきたのは2年ほど前からである。理由としては乗客が増えて乗降時間が所定よりもかかるようになったこと、新米運転士が増えたことなどが挙げられようが、平成14年7月、京阪神地区のアーバンネットワーク草津西明石間にコンピュータによる運行管理システム、SUNTRASを導入したことが、より大きな要因である。このときから遅れが目立つようになったように思える。(略)
コンピュータは融通が利かない。どうしてもきつい回復運転を指示する。SUNTRASを導入するまでは運転指令が融通を利かせていたが、導入してからは、SUNTRASをどうしても参考にしてしまう。そして、この指令によってますます遅れると、それに対してコンピュータがまたまた無理な回復運転を指示する。(略)
SUNTRASによる慢性的遅延が今回の事故につながったとも言えるのである。コンピュータによる運転整理と神業的運転とは相性が悪いのである。

急カーブ?あきばエクスプレスは200mですからっ!

半径300mのカーブは多くはないが、といって珍しいわけではない。
明治・大正に造られた路線では半径300m以下のカーブはざらにあるし、比較的新しい路線でもやむをえない場合は設置されている。
たとえば昭和47年に開通した総武快速線には東京駅手前に半径300mのカーブがあり、まもなく開通する「つくばエクスプレス」には半径201mの急カーブが2個所ある。

あとがきより

メディアによるミスリードでとくに目立ったのはATSについてである。基本的にATSは運転士が赤信号を無視したときに列車を停止させるバックアップ装置であり、カーブでの速度チェックなどは副次的なものである。また、ATSといっても種類が多い。福知山線のATSは旧式のもので機能に問題ありとする報道が多かったが、大幅に改良されて速度チェックも可能になっている。(略)
問題は事故の起こったカーブに速度をチェックする地上子が置かれていなかったことに尽きる。新形とされるATSであっても、地上子を置かなければ事故は防げない。(略)
早急に行うべきなのは、各JRにある従来タイプのS形地上子だけの閉塞区間に速照地上子を置くことである。