ベケットが中原昌也っぽかった瞬間

並には勝る女たちの夢

並には勝る女たちの夢

 彼はどろっとした膝に手を戻して、依然せっせとこうした第二位の営みに励んでいた。すると突然、目の前に粗野で意志の強そうな男が立って、最後通告のように耳障りなことを言い立てているような気がし、彼は顔を上げた。それは残念ながら本当だった。むさぼり食うための獲物を探している波止場主だったのだ。ベラックワは、言われていることに注意を払い、あふれんばかりの罵詈雑言から推してこの男は彼に立ち退きを求めているのだという結論を引き出した。
 「俺の波止場から出てけ」波止場主は無礼に言った。「早くうちに帰ってお茶にしてえんだ」これはもっともなことに思われた。この男が波止場を自分の所有物のように言うのもベラックワには当然過ぎるほど当然に思われた。ある意味でこれは彼の波止場だったのだ。彼はそれに責任を持っていた。それが彼がいる理由だったし、それで給料をもらってもいたのである。それなら、一日の仕事を終えて家に帰りお茶を飲みたいというのも至極当然だった。
(略)
 「いやもう、ただただ申し訳なくって」彼はどもりながら言った。「こんな迷惑をかけてしまって。いや本当に、僕にはさっぱり……」
 波止場主はペッと唾を吐いた。波止場は禁煙だったが唾を吐くのは自由だった。
 「俺の波止場から出ろ」波止場主はきっぱりと言った、「その唾が渇くまでにな」

草案の元となったマッカーサー原則

[戦争放棄の宣言のあとに]
It relies upon the higher ideals which are now stirring the world for its defense and its protection.
日本は自らの防衛と保護を今や世界を動かしている高い理想に委ねる。

「高い理想に委ねる」って、スゴイなあ。民主主義のことなんだろうけど、オメーらはアメリカの言うことだけ聞いてりゃいいんだよという意味でもあって、これが残ってたら、カイセーだのなんだのと大騒ぎせずに、今頃はすがすがしく、アメリカちゃんに身を委ねて何処へでもってことになってたりして、というかなってるけど、なむー。