オシムが語る

たかだか週刊誌のインタビューでも

週刊文春のオシム説法 - 本と奇妙な煙

こんなに面白いのだからと借りてみたのだが、期待ほどではなかった。

見捨てられた故郷

 「墓地は目に入っても、心に深く刻まれた傷には目をつむるのが人間だ。恥ずべきことをしたとは分かっていても、プライドを捨てきれないために誰も自分の落ち度を認めようとはしない。戦後、旧ユーゴスラビアの権力と領土は分割された。だが、本当に我々が困っていた時には誰もサラエボのことなど気にとめなかった。そのことをどれだけの人が自覚しているのか……」

「勝ち組」野郎に喝

 「ポジティブに考えるのは結構なことだ。だが、この世には、ポジティブに考えるチャンスさえない人がたくさんいる。病気、貧しさ、搾取、戦争のせいで、苦しい生活を送っている人たち……そういう状況で、オプティミストでいるのはむずかしい。そのことを忘れてはいけない。人生は、オプティミストで通すには長すぎる」

オシムジャパンのことじゃないです、

シュトルム・グラーツのことです。

 この頃のオシムは、まるで優勝したかのごとき会長の言動や、まるで常勝チームになったかのような、新聞の根拠のない期待に辟易していた。それだけに、敗北に対する地元の反応には、ひどく傷つき、苛立ちもした。
 「負けた後の葬式みたいなムードだけは、まるで理解できない」とオシムは言う。
 「いつだって、なぜ負けたか、自分で理解することが大切なのに」

オシムマジック

大学で学んだ数学が今でも作戦会議に役立っているか聞いてみた。
 「もちろんさ。特に、幾何だね。幾何学的な形と図形で考えるから」
 紙ナプキンを一枚引き寄せて、ささっと四角を描く。にやりと笑って、「マジックだよ」と言う。四角がたちまち、“攻撃的トライアングル”になる。ほうっと思ったとたん、今度は攻撃の手を緩めて、図形が“守備的なボックス”に変わる。
 「それでは、楕円は?」と冗談で聞いたら、あっという間に、勢いよく大胆な曲線を描いてみせた。 「左サイドに絶大な効果を発揮する芸術的パス。ただし、選手たちが私の講義をいつも理解しているかは定かじゃない」
 オシムががんじがらめのシステムを嫌っていることは、火を見るよりも明らかだ。

どこの国も一緒なんだなあ。

『絶対に負けられない戦い』w

 「オーストリア代表チームが抱えている問題は、サッカーをするチャンスを一度もつかんだことがないこと。残念ながら、毎度同じ言葉を聞く。『絶対に負けられない戦い』というやつだ。だから、どの試合も戦術先行になる。その結果、混戦のあげく、押し込まれる。同じことの繰り返しだ。(略)

なんだか気分がセンチメンタルになってきたので、オマケ。