著作権を確立した人々―福沢諭吉先生、水野錬太郎博士、プラーゲ博士… (成文堂選書)
- 作者: 大家重夫
- 出版社/メーカー: 成文堂
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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一審、二審とも被告側が有罪となるが、下記の主張で無罪を獲得。
弁理士荒木虎太郎は、一審の判決が出たあたりから、
①雲右衛門は果たして音楽上の著作をしたのかどうか、していないと思う。
②同人の浪花節は他の者のそれと違って独創的か、声が違うから
独創的というならば、天賦の音声、天然の美景と同じでこれを美術というのか。
③かりに独創的として果たして音楽か、雲右衛門の声が独創的でも、
それは著作物ではない、と疑問の声を挙げた。
[無罪判決を出した裁判長横田秀雄の言]
作曲が著作権を得るためには旋律が一種の定型をなし、
頭脳に深い印象を存し、反覆せしめる可能性が必要だ。
浪花節は、演奏者の脳裡に定型を遺留せしめないから音楽の著作物でない。
「楽曲ヲ他ノ鰯盤二写シ取リテ音盤ヲ製造シ利ヲ営ムコトノ正義ノ観念
二反スルハ論ヲ侯タサル所」だが取締法規がない以上仕方がない。
タレント本については本人が著作したとは世間は思っていないから、いいんじゃねえの、ってことに一応なっているのだが、121条の立法趣旨が、名前を使われた者の氏名権の保護だけではなく、世人の信用も保護するものである、とすると警察はゴーストライターを非親告罪で逮捕できる。
タレントとゴーストライターがよくても、タレントが書いたと思っている読者を欺いている罪で逮捕できる。
ちなみにボス教授の指揮命令による代作*1は、職務著作に該当するかぎり、合法。「釈然としないが、解釈上やむを得ない」そうです。