アキラtoルパンdeユリシーズ

動画用写真が溜まる一方なので、『ユリシーズ』挿絵代わりに使ってみた。

――そんなことで一日中もやもやするな、と、釘を刺す。おれは脈絡のない男さ。うじうじうさぎこむのはいいかげんにしろって。

ユリシーズ〈1~3〉

ユリシーズ〈1~3〉

 声が、甘ったるげなふんわり吹かれてくる声が、海から呼びかけた。角を曲りながら手を振る。また呼ぶ。てかてかっと光る褐色の頭、海豹頭が一つ、向うの海面にぽかっと、まん丸く。
 簒奪者め。

全空間の破壊が聞える、砕けるガラスと崩れ落ちる石造り、そして時は一個の青鈍の最後の炎。それから何が残された?

――自分の金でやってきた。生涯、一シリングも借りたことはない。この気持ちがわかりますか?一文の借りもない。わかります?

 僕に触ってよ。柔らかな目。柔らかな柔らかな柔らかな手。ここで一人ぽっちなんだ。ねえ、すぐに、いますぐに触ってよ。

 荒廃。
 鉛色の恐怖がじゅっと肌に焼鏝を這わせた。ちらしをたたんでポケットに突っ込み、エックルズ通りへ入り、早足に家へ急ぐ。ひんやりぬるぬるものが全身に流れ、血を冷やす。老いが塩の外套をおっかぶせようとする。なあに、おれはこのとおりさ。そう、おれはこのとおり。

 四人とも見つめる。殺人犯の屋敷。暗く通過する。鎧戸を閉めきって、空家のまま、草ぼうぼうの庭。敷地全体が荒れ放題。誤って処刑される。殺人。殺された者の目に焼きつく殺人犯の形相。みんな、そういう記事を読むのが好きだからな。庭内に人の首。女の着衣は。殺された経緯。直前に暴行。使われた凶器。殺人犯依然として捕まらず。手がかり。一本の靴紐。遺体発掘の予定。殺しは露見する。