自宅スタジオ構築バイブル

赤川式自宅スタジオ構築バイブル

赤川式自宅スタジオ構築バイブル

スピーカー背面の処理

思うに、中低域は意外に重要なのだ。つまり
定位=中高域
音像=中低域
こういう公式があるのではないか?中高域は直進性が高い。
ほとんど前にしか進まない。スピーカーからの直接音で位相とレベルを感知し、脳が定位を演算していると思われる。
一方、中低域は指向性が広い。スピーカーの後ろに回り込んだ音は壁に当たって反射してくる。この“少しだけ遅れた中低域”が、音像を形作るのではないか。遅れてくる音の位相を合わせるためには、リスナーと後壁の距離を合わせればよい。つまり遠いところは角度を付ける(図1)。

本気で焦点を合わせようとして、曲面にしてはいけない。そういうカタチは次第にメガフォンに近づく。特定の周波数にピークができるので、やり過ぎは禁物だ。同じ理由で角度の付け過ぎもよろしくない。
今までのスタジオではスピーカーの背面の処理に関しては定説が無く、吸音が良いのか反射が良いのか、はっきりしない。だが、少なくともaten studioとORANGEでは“反射が良い”と出た。(略)
まず、背面の壁は堅くて重いことが粂件と思われる。(略)
無反射というのは、容易に実現できるものではない。(略)
鉄筋コンクリートの壁なら、たぶんそのままが良い。弱い壁(タイガーボードなど)だったら、コンクリート・ブロックやレンガで璧を新設することをお勧めしたい。恐らく、“どうせ反射するなら、全帯域を反射する”方が良いのだ。吸音するなら、面積を狭め、効率の良い(なるべく全帯域を吸う)方法が良いだろう。(略)
[反射板を]自作するなら、構造に注意して制作し、共振性の反射板は避けたい。反射音に共振音が乗ると、音像どころではない。音色が乱れてしまっては元も子もない。できるだけ固くて丈夫なものが望ましいが、限度というものもある。大理石とかで作るわけにもいくまい。現実的なところで合板を使うことになるだろう。(略)
[中空構造の]空きスペースに詰めものをすることで、共振を抑えることができるからだ。(略)最強素材は砂でまず間違い無いだろう。(略)米が良いという情報もあるが、虫がわく心配がある。安くて重くて乾いていて……つまり珪砂で決まりだ。珪砂は建築用の素材を扱っている店で入手できる。ホーム・センターは高価なのでお勧めしない。柱を何本も立てて仮想的に壁を作るという手もある。丸太もアリだ。とにかく“音像、定位”で悩んでいるなら、各自工夫して後壁反射板を自作してみよう。

奇数分割設置法

部屋の寸法を測り、3とか5で割り、その数値が交差するポイントにスピーカーを設置すること(略)ポイントから前後左右に少しずつスピーカーを動かしてみる。すると、低音の量感が徐々に変化する様子が聴き取れるはずだ。

部屋の縦横高比率

[石井伸一郎の研究によると]良い低域特性を得るためには部屋の縦横高さに特有の比率が存在する。それは1:0.83:0.7であり、この比率にかなり近いのが6畳間だというのである。8畳間や12畳間では、天井高が不足し、重要な50Hz近辺が大きなディップになる。

インピーダンス

 

1.インピーダンス・マッチングを取らないと、周波数特性が変化する。
2.おおむね「低く受けるとレベルが上がって高域が落ちる。高く受けるとレベルが下がって高域が上がる」
(略)
そのうち、“出力インピーダンス50Ωのリボン・マイクを入カインピーダンス2kΩのマイクプリに入れ、ハイ上がりの音を録音する”などという高度なワザも身に付くことだろう。なにせ、“インピーダンス・マッチングによって音が変わる”ということを知っておくことだ。