イッキ乗り

新幹線の運転

 東海道新幹線乗ってて、勾配を感じるお客さんはいないと思いますけど、けっこう多くの山を越えていくんです。いまからあの山を越えるんだなと、そのときは遥か遠くに見えていても、あっというまに越しちゃう。10Kmくらいでも、2分程度で行きますからね。そうすると、大きな景色の流れが短時間に見えていく。なにしろ、1日に2000kmとか走りますから。とくに私は山を越えていく感覚が好きでした。季節も、出発地と終点で違います。朝、家で雨が降っていると、ああ、これはきのうのあの雲なんだな、とかね。距離や時間のスケール感が、普通の人の日常とはまったくかけ離れている。

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鉱山の重ダンプ「HD985-5」

全長10.6m全幅5.9m全高5.1m。積載能力100t。価格1億5千万円。
7段ATで運転は簡単だが

 「いちばんむずかしいのは、雨の日の下り坂ですね。インジケーターで2速を確認しながら、1800〜2200rpmを保つようにリターダーで速度を調整して下ります。2400rpmを超すと、上のギアにいっちゃいますから。制動が強すぎて、タイヤがロックすれば体でわかりますけど、そうなる前から、サイドミラーで後輪を確認しておく。いかにスリップさせずに、ゆっくりタイヤを回して降りてこれるかがワザなんです。
 それでもロックしたら、ブレーキをゆるめるか、もしくはアクセルを踏んで、少し駆動を加えてやります。逆の操作だから、最初はこわいですよ。ビビったら終わりです。でも、100t満載の下り坂で、ましてや雨の日なんかにロックさせたら、こわいなんてもんじゃないです。滑り台と一緒。上から下まで、ズドーっていきます」
 テクノセンタにも、スキーの上級者コース並みに急な坂がある。ドライバーの研修などで初めてホイールロックを経験すると、なかにはパニックに陥る人もいるそうだ。

モーターグライダー

 十分な高度まで上がったところで、エンジンを止め、滑空に入る。2枚羽根のプロペラが完全に止まると、シューっという風の音が機体を包む。さらに、ピロピロピーロピーロというけったいな音がひときわ耳につく。グライダーならではの“オーディオバリオ”だ。機体の上昇と下降を、電子音で常に教えてくれる。上ると高音、下がると低音になる。

 G109Bの長所は、まさに飛行機とグライダーのいいとこ取りにあるという。直行すれば大阪まで2時間で飛べる速さを持ちながら、1時間あたり16ℓと燃費がいい。燃料タンクは100ℓ入る。セスナ172は40ℓ/時間である。
 しかも、もともと自動車用エンジンだから、高いアブガス(航空燃料)以外に無鉛ハイオクも使える。

シールドマシン

分速2cmで地底掘削

ドリルのくせに、なぜ先が尖っていないのか。(略)
 尖った円錐状のカッターを使うと、掘り進んでゆく土(地山)を崩してしまう。地山を崩壊させずに掘るには、広い平面で均一に押し進みながら、ゆっくりと削ってゆくのがいいのである。(略)
ジャッキの推力に加えて、このマシンは泥水を常に循環させて地山に圧力をかけている。削り取られた土砂や岩石は、底部に通る排泥管で泥水もろとも後方へ送られる。
この付近は東京礫層と呼ばれ、大きな石が多い。作業中、直径14センチの排泥管の中を人頭大の石が音を立てて流れていくことがある。そんなときは、さすがに掘削のリアリティを感じるそうである。

鉄道の“権威”を捨て身軽になろう

線路と道路を走れるDMV(デュアル・モード・ヴィークル)。JRローカル線ディーゼル車が1億円以上に対し、DMVは改造費込みで2000万円程度。保全費用も安い。
交差する道路をせきとめる鉄道の“権威”を捨て身軽になろうという発想。

DMVなら駅はいらない。車重が軽いので、保線のコストも下がる。信号は、今後、GPSを利用して簡素化することを考えている。
 「要するに、鉄道ができたときの、レールだけの状態に戻れないかという発想なんです。架線も信号も踏切もない、踏切は交差点にあるような信号でもいいじゃないですか。場合によっては、こっちが止まると。鉄道というのは、たくさんの人を一度に運ぶからこそペイするし、環境にもいい。でも、うちのような弱小の会社だと、設備やシステムがオーバークォリティになりすぎている。だから、輸送量に見合った輸送力の乗り物をつくりましょうという発想です」

モーターパラグライダー

「離陸して、エンジン全開で10分上昇すると、たいてい雲は突き抜けます。あれ、入るときがおもしろくて、思わず息止めちゃいますね。入ると、微妙に湿気が体にまとわりつく感じ。冷たくはないです。逆に、サランラップが肌にくっついたような感覚かな。
 高度600mくらいで飛んでいると、ニオイの壁にドーンとぶつかることもあります。菜の花とか、ヒノキとか。ニオイって、かたまりなんですよ」