帝国との対決2

 

帝国との対決―イクバール・アフマド発言集 (Homo commercans)

帝国との対決―イクバール・アフマド発言集 (Homo commercans)

 

前日の続き

たとえばジェファーソン型のリベラリズムのほうが、ここアメリカでは、わたしたちが理解しているような「左翼」よりも、ラディカルな未来を開くかもしれません。ある種のアナーキズムの形態がアメリカの伝統に、左翼よりも、深く根づいているかもしれないのです。この伝統においては政府に対する真正の懐疑、権力の集中化に対する真正の異議申し立てが存在するのです。アナーキズムのほうが、伝統的で正統派のマルクス主義左翼よりも、未来があるかもしれません。

一九二〇年の段階でタゴールナショナリズムを、共通性ではなく差異にもとづく排除と分離の情緒的反応を生み出しがちであると断じています。非暴力は、組織的かつ情緒的に宗教的象徴を利用するかぎり分裂をまねき、インドに暴力の種をまくことになるだろう、と。つまり暴力の根は、ガンディーが大規模に動員しようとした非暴力運動そのもののなかにある。だからガンディーの不服従運動、輸入品の焼却排斥運動は、階級によって影響がまちまちで、不利益をこうむる階級もでてくる。ベンガルに暮らす貧しいムスリムたちは、ベンガルを支配している中産階級ヒンドゥー教徒たちとちがい、この運動によって生活を圧迫されることになるのです。