『幻聴妄想かるた』『アメリカ・メディア・ウォーズ』

二冊まとめて。

国民のコトバ

国民のコトバ

高橋源一郎が上記本の中で下記本を紹介したものを引用。
やっぱりホンモノはスゴイですねw

以下すべて引用。

  • いつの間にか ご飯の食べ方がわからなくなった
  • コンビニに入るとみんな友達だった
  • おとうとを犬にしてしまった
  • まい日が 金縛り状態
  • みな殺しにされる日が特定され 逃げ回ったがまだ生きている
  • もう気になるとそこから意識が離れない
  • ふいに空から声がして 「三越の前で待っている 歩いて来い」

一日待ったが誰も来なかった

  • やはりかすかな声 「待っています」「ついて来い」

五反田から江ノ島まで歩いてしまう

ハーモニーの皆は全員知っている

  • つまのブルーのポルシェが迎えにくる 半日待ったがやってこない図書館前
  • しん臓が止まっている
  • 佐賀、長崎、徳之島 この世界から抜け出せない

患者が自分の来歴を綴っていて

 大きな苦労、絶不調がやってきたのは、女です。2人をすきになって、それがばれて。それで、狂っちゃって結婚しようかと思っていた頃だったんです。1人の女から『死んでやる』とか。僕が『そんなこと言うなよ』とか言ったんだけど。その女が傷害してきて、男を使ってきたり、若松組を使ってきたり、電話攻撃、押し寄せてきたりしました。それでまた、最近若松組が復活してきて……。27歳くらいでした。で、狂っちゃった。振り返ってみると若松組を予感させる出来事だった。
(略)
若松組は床を揺らす以外にも口で言ってくる。換気扇から『仕事するな』とか『女がいるだろう』『女が淋しがるぞ』とか話しかけてくる。それで、日善病院(仮名)に入院になった。

  • 二冊目。

アメリカの新聞社数は日本の13倍なのに発行部数は日本と同じ。つまり規模が小さい。
世界の新聞発行部数ベスト5、1位読売、2位朝日、3位がインドの新聞、4位毎日、5位が日経とドイツ紙ビルド。
米大手紙はマルチメディア化をすすめ自社サイトで動画や写真を豊富に使い、一方の新興オンラインメディアは資本力がないので活字情報が中心。

「ハイパー・ローカル」路線

[アメリカの]新聞の発行総部数は日本とほぼ同じで5000万部前後で、発行元の新聞の数は日本が110社なのに対し、アメリカは1400社余りもある。つまり、日本の25倍もの広い国土に、より小規模の新聞社が広範囲に散在している。(略)
そこで徹底的に地元のニュースに密着し、ローカル路線を取れば取るほどライバル紙はなくなり、独占市場になる。(略)しかも地方都市では、田舎になればなるほど高齢化が進み、インターネットの影響を受けず、読者の紙離れの進行が遅い。(略)
小さな町の新聞社は昔もいまも、経営規模をむやみに拡大させることなく徹底的に地元ニュースにこだわる「ハイパー・ローカル」路線を死守し、昔ながらの読者をしっかりとつなぎ止め、経営を安定させている。

NPOメディア

全米にあるNPOメディア全体の六割以上に当たる38団体が2006年以降に創設された比較的新しいものである。フルタイムの職員や記者は計658人で、このうち約三分の二に当たる442人はプロのジャーナリストとしての経験があるという。(略)
[回答のあった49団体の平均の年間予算額は約160万ドル]
NPOメディア内での「格差」は大きいという。調査した60団体のうち少なくとも8団体は年間予算が10万ドル以下と財政状態は極めて厳しく、記者はわずかな報酬しか受け取っていないか、ボランティアで無給で仕事をしている。(略)[老舗&大手NPOメディアの]記者は既存メディアの平均と同等かそれ以上の報酬を得ている。
(略)
 このほか経費節減の観点から注目を集めているのが、大学に拠点を置くNPOだ。全体の約四分の一に当たる14団体は大学内に事務所を持ち、このうち8団体は大学に所属している。残る6団体は法的、財政的には大学に帰属しないが、事務所は大学に置いている。

VOSD

 若い。編集室に足を踏み入れた瞬間、そう思った。編集作業を担うトップのドナヒュー氏が32歳、スタッフ15人の平均年齢はわずか26歳だという。これが、アメリカで今注目を集めるオンライン専門NPOメディア、VOSDの顔ぶれだ。(略)
[取材先に選んだ理由は]
 まず、アメリカ発の金融危機が起きる三年半も前に創設されていること。創設者もスタッフも、既存メディアの経営悪化とは関係なく、むしろ既存メディアにはできないことをやろうという意気込みでこの組織を立ち上げていた。第二に、その内容は調査報道などに特化していない。地元の日々のニュースを追っているが、かといってAP通信や米大手紙の記事を購入している様子もない。そして第三に、ニュースの扱いや切り口に独自の視点があることだ。(略)
 VOSDは2005年2月、地元の企業家、バズ・ウーリー氏と地元最大紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンの元コラムニスト、ニール・モーガン氏が「地元メディアに対する不満から」設立した。当時、サンディエゴ市では年金制度に絡む不正が横行し、捜査当局が摘発した。だが事前にそれを指摘した報道はほとんどなかった。「市民社会に必要な情報が伝えられていない」。そんな危機感からVOSDは生まれたという。
 設立当時のスタッフは、わずか四人だった。ウーリー氏個人による寄付金、30万ドルの予算からスタートしたが、その後、州内外や地元の財団から寄付金を幅広く集めた。(略)地元テレビに取材記者らが定期的に出演してニュースを提供することで提携料を得たり、ウェブ上に広告を掲載するなどさまざまな収入源を確保している。

真面目なニュース

筆者 メディア関係の人々ほど、真面目なニュースは退屈で人々にウケないと言う人が多いような印象がありますが、それは思い込みで、市民はもっと真面目なニュースを受け入れてくれる。むしろメディアがその知的好奇心に十分わかりやすい形で応えていないようにも思います。
ドナヒュー 私もそう思います。実はこのVOSDを創設した時、たくさんの人が「真面目なニュースなんて求められていない」と言いました。「センセーショナルにやれば、注意をひける」と。しかし実際には、真面目なニュースを送り続けると、それはそれで人々は好んで読んでくれるのです。