キース・リチャーズ自伝

チビで“モンキー”とあだ名され、週五日いじっめ子の待ち伏せに怯え、ボコられた小学時代。聖歌隊に選ばれ数々の賞を獲得するも、13歳の変声期でお払い箱に、免除されていた授業がチャラになり一年留年、「あの燃えたぎるような怒り、世の中を疑い始めたのはあのときだ」、そしてグレる。なぜかボーイスカウト入団、数ヶ月でパトロール・リーダーに昇格、17歳目前で徴兵制度が廃止された時は、ホッとする一方で、もし徴兵されてたら人を動かすの得意だから将軍になってたぜと豪語。
面白いのがドラッグ話は満載なのに、女に関してはいたって淡白、体より心のやすらぎを求め、女を口説いたことはない向こうが来るのを待つ、たがの外れた女の集団は恐い、ミックやビル・ワイマンみたいに何人とやったとか自慢してるのは馬鹿、嵐の中びしょぬれでも帰らない三人のファンを部屋に入れてやり雨がやむまで話してすごしたとか、「草食系ジャンキー」なキース。

ライフ

ライフ

 

「ハートブレイク・ホテル」

俺が初めて聴いたロックンロールだ。歌いかたが全然ちがう。ほかとは音がまったくちがう。余計なものをすべてはぎ取って燃焼している。(略)あればっかりはエルヴィスに脱帽だ。静けさはキャンバスだ。無理やり埋めちゃいけないんだ。

最初に買って貰ったのは10ポンドのガット弦ギター

ギタリストになりたかったらアコースティックから始めて、そのあとにエレクトリックにレベルアップするのがいい。俺は堅くそう信じている。(略)今知っていることは全部レコードから学んだ。(略)耳で聴いて、そこからじかに演奏するんだ。

イアン・スチュワート

あの男には今でも恩を感じている。俺にとって、ローリング・ストーンズはスチュのバンドだ。あいつの知識と組織力がなかったら、あいつが思いきって俺たちみたいなはな垂れを選ばなかったら、ストーンズは生まれていなかった。(略)
デッカとの契約はスチュがバンドを追われる契機にもなった。売り出すのに六人は多すぎる、そうなるとはじき出されるのがピアニストなのは明らかだった。この業界の残酷なところだ。その話をスチュに伝えるのは、バンドのリーダーを自任していたブライアンの役目だった。とてもつらいことだった。スチュは驚きはしなかった。こういう事態になったらどうするか、もう心を決めていたんだろうな。すっきり納得してくれた。(略)あのときはスチュの人間性を見せつけられた。あれ以来、俺は心に決めている。あいつを絶対離さないぜって。(略)追い出されたからといって俺たちの足を引っ張ろうとしたり恨みごとを言ったりもしなかった。

キースのギター講座

ロックンロールは激しいバックビートのジャズなんだ。(略)
[ジミー・リードの曲はどれも基本同じで]テンポはふたつ。しかし、反復と単調さが魔力を生み出していた。繰り返すことで曲がトランス的な代物に変わるんだ。俺たちはそこに魅せられた。(略)
ミニマリズムにはある種の魅力がある。まあ、ちょっと退屈だが、だんだんもっと聴いていたくなるんだ。退屈で何が悪い。それにつきあっていくのが人生ってもんだ。(略)
[ボ・ディドリーの技術に比べればちょろいと思っていたが、ジミー・リードもいざ分析してみると]
Eのキーで五コードをどう弾いているのかわかるまで、何年もかかった。(略)
オーソドックスに考えれば、左手の動きに若干の労力が必要になるバレーコードB7をやるところだが、なぜかあいつはあえてBをはずす。Aの開放音を響かせたまま、D弦の指を7フレットまでスライドさせるだけだ。こうすると頭にこびりついて離れない音色が生まれる。
嘘じゃない。これはできるかぎり怠けたまま商売になる唯一の方法であり、音楽史上有数の輝かしい発明だ。ジミー・リードはあれで三十年間、同じ曲を演奏してこられた。それで通用したんだ。あの技法を教えてくれたのは、六〇年代に二曲ばかりヒットさせたボビー・ゴールズボロという白人だった。(略)
こういう男たちの誰一人、ありきたりのコードを弾いてないってことだ。何かを足したり引いたり。ふつうのメジャーなんてまずない。組みあわせるんだ。切り刻み、におわせ、からみあわせ。“正しい”なんてものはない。(略)
ふつうのコードを弾いたら、次は何か別のものを入れるべきだ。Aなら、ちょっとDをにおわせる。ちがった感じの曲のAにはGをにおわす。そこからセブンスになってと、演奏者を先へ導いていく。

Baby What You Want Me to Do

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Bright Lights, Big City

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Anthology

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5 CLASSIC ALBUMS PLUS

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1963年の日記から

おかしい。練習したてのアブナいしぐさがどうも受けてない。リラックスが足りないのか。最近の若いやつらは、ちょっとひねてるしな。

チャーリーのドラム

たしか、ジム・ケルトナーかアル・ジャクソンから習得した技だ。ふつうは右手でハイハットを四拍とも叩いて、三拍目に同時に左手でスネアを重ねる。ところがチャーリーは、ロックンロールですごく大事な三拍目で、ハイハットを叩かずにスティックを持ち上げ、左手でスネアだけ叩く。こうすると、余計なじゃまが入らずにスネアドラムが鮮烈に際立つんだ。(略)チャーリーのドラミングのゆるい感じは、この無用な動きが一因だ。(略)
スネアはぐっと後ろで、ハイハットが先。あいつがどうやってビートを伸ばすか、そこに俺たちがどうからんでいくか。それがローリング・ストーンズサウンドの秘密だ。

ビートルズ

すごく友好的な関係にあった。そして抜け目なく示しあわせていた。あの当時、シングルは六週間から八週間ごとに出されていた。タイミングを計って、互いの時期がかちあわないようにしていたんだ。ジョン・レノンが俺に電話をかけてきて、「ええと、僕らはまだミキシングが終わっていないんだ」と言う。「こっちはすぐ出せるのが一枚あるぜ」「わかった、お先にとうぞ」

ビー・マイ・ベイビー

[ロネッツの]ロニー・ベネットと恋に落ちた。彼女は二十歳。姿を見るのも、声を聞くのも、いっしょにいるのも夢心地だった。俺は静かに彼女に心奪われ、向こうも俺に心を奪われた。ロニーも俺に負けないくらいシャイだったから、そんなにやりとりしたわけじゃない。しかし、あそこにはまちがいなく愛があった。全部秘密にしておかなくちゃならない。フィル・スペクターは(今でもそれで悪名高いが)、とんでもないやきもち妬きだったからだ。(略)
すとんと恋に落ちた。「ビー・マイ・ベイビー」みたいなレコードを聴いて、とつぜん自分がそのベイビーになったら、あんたならどうする?しかもほかの誰にも知られちゃいけない。ひどい状況さ。とつぜん成功して、出会って、恋に落ちた二人。それを引き裂こうとする周囲の状況。(略)
ある日の早朝、俺はストランド・パレス・ホテルに彼女を迎えにいった。「ハローって言いたくて」と。ツアーはマンチェスターヘ出発するところで、みんなでバスに乗らなくちゃならなかったから迎えにいこうと思っただけだ。何かあったわけじゃない。荷造りを手伝っただけで。しかし俺にしちゃ、かなり大胆な行動だった。

USツアー中よく流れてたビーチ・ボーイズ

『ペット・サウンズ』を聴くのはのちのことだが、ちょっとみんな作りこみが過ぎる気がするな。しかし、ブライアン・ウィルソンには光るものがあった。「イン・マイ・ルーム」「ドント・ウォリー・ベイビー」。俺にはB面のほうが面白かった。あいつがそっとすべりこませた曲のほうが。俺たちのスタイルとはまったくちがうから、無心に聴くことができたんだ。じつによくできた歌だと思ったよ。ポップソングの言葉遣いもすぐ気に入った。

イメージ戦略

当時、俺がアンドルーを見て考えていたことと、あいつが俺たちを見て考えていたことは同じだった。「このろくでなしは使える」ってことだ。
マスコミ操作は赤子の手をひねるみたいで、思うがままだった。ホテルを追い出されたあと、ガレージの前庭に小便したりした。ブリストルのグランド・ホテルに行って、わざと追い出される。アンドルーがマスコミに電話をかけ、ストーンズがグランド・ホテルから追い出されるところを見たかったら、これこれの時間にあそこにいろと教える。当然、「あなたは自分の娘がストーンズの一人と結婚するのを許しますか?」みたいな反応が起こってくる。

ジャック・ニッチェ

フィル・スペクターも才能があったが、ジャックこそが真の天才だった。どっちかといえば、フィルがジャックの並外れたセンスを吸収しつくしたんだ。ジャック・ニッチェは物静かなアレンジャーで、ミュージシャンで、才能を融合させる名手だった。趣味でやっているからということで、給料ももらってなかったが、あの時期の俺たちには貴重な人物だった。俺たちのセッションにくつろぎにきてはちょっとしたアイデアを投げこんでくれて、気が向くと演奏もした。「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」では彼が俺のピアノ・パートを引き継いで、俺がベースを引き継いだ。

ということで、
明日は「サテスファクション秘話」から。
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