名誉毀損かげろう斬り

チラ見。

名誉毀損―表現の自由をめぐる攻防 (岩波新書)

名誉毀損―表現の自由をめぐる攻防 (岩波新書)

刑事と民事でのちがい

 まず、「論評」による名誉毀損の扱いが異なる。刑事上の名誉毀損は、具体的な「事実」を示さなければ成立しない。(略)
「バカ」などと罵った場合、社会的評価にかかわる面があるとは言え、あくまで具体的な「事実」ではないから、刑法では侮辱罪となりうるにすぎない。これに対し、民事上の名誉毀損は、人の社会的評価を低下させるものならば、論評、すなわち自らの「意見」を公表しても名誉毀損が成立しうる。(略)
公然性の要否も違う。刑事上の名誉毀損では、明文で「公然」であることを要求している。しかし、民事上の名誉毀損では、公然性は要件とされていない。もっとも、名誉毀損の対象者以外の第三者に伝播する可能性がなけれは、社会的評価は低下しないから、結果として公然性が要求されているとも言え、この点を突き詰める実益はない、と考えられている。

「外部的名誉」と「名誉感情」

「名誉」は主として二つに分類されうる。一つは、人の価値に対して社会が与える評価をいう「外部的名誉」である。もう一つは、人の社会的評価ほど客観的なものではないが、個人が自分に対して持っているプライドといった意昧での「名誉感情」である。この名誉感情については社会生活上、個人の主観的評価に外部的名誉ほどの重要性がないなどとして、客観的に存在する「外部的名誉」だけが名誉毀損における「名誉」とされている。判例も刑事・民事を問わず、同様に解釈している(略)。
 では、「名誉感情」は、法的な保護を受ける余地はないのだろうか。
(略)
民事の最高裁判例は名誉感情について、名誉毀損の「名誉」に含まれないとするものの、法律の保護の対象外とまでは述べていない。そこで、下級審の裁判例では近時、不法行為法で保護を受けうる利益かどうかという観点から検討し、〈名誉感情は法的保護に値する利益である〉と認めたものが相次いでいる。最高裁も2002年の『石に泳ぐ魚』事件判決で、名誉感情の侵害が不法行為となりうることを認めた(最高裁2002年9月24日)。民事では、人格的利益を侵害する不法行為として、慰謝料を請求できるようになってきているのである。

公正な論評

英米法辞典』では、「公の興味をひく事柄についての論評で、その事柄と人物の行為に対象を限定し、個人の人格や動機についての批判には立ち入らないもの」、「書評、劇評、評論において、論評の対象について主要事実を正確に伝え、評者の見解を述べるに留まり、作者、製作者への人身攻撃や批判を目的としたものではない批評」と定義し、こうした論評については名誉毀損が成立しない、と説明している。
(略)
 ところが、19世紀末から20世紀初めにかけて、政治家の行動といった公的な関心事が議論されるようになると、複雑な様相を見せ始める。文学や芸術がテーマなら、作品という「事実」と、これに対する批評という「意見」は区別しやすい。これに対し、問題が政治などのテーマに関わると、「事実」と「意見」の区別がはっきりしなくなってきた。

 日本に公正な論評の法理を紹介したのは、幾代通教授(民法)とされる。1963年の論文で、「公共の利害に関する事項または一般公衆の関心事であるような事柄については、なんびとといえども論評の自由を有し、それが公的活動とは無関係な私生活曝露や人身攻撃にわたらず、かつ論評が公正であるかぎりは、いかにその用語や表現が激越・辛辣であろうとも、またその結果として、被論評者が社会から受ける評価が低下することがあっても、論評者は名誉毀損の責任を問われることはないとする法理である」と述べた。

公正とは

論評の域を逸脱しないことが「公正」と考えられている。(略)
判例では、「極端な揶揄・愚弄・嘲笑・蔑視的な表現」を避けているかどうかが「公正」を判断する一つの基準になっている。
(略)
 また、アメリカでは、論評の「公正」は、意見や批判が客観的に正しい必要はなく、主観的に正しいと信じてなされればよい、とされている。日本の学説では、「公正さ」を純化すれば、表現方法の適正性、主題との関連性、文脈から読み取れる表現者の真摯性・誠実性という観点から判断する立場もありうる、と考えられている(渋谷秀樹・メディア判例百選)。

  • 忍法かげろう斬り

時間がないので観ないようにしていた時代劇専門チャンネルをついチェックしたら、「忍法かげろう斬り」が10話消化。オープニングの「ずいずいずっころばし」の渡哲也の低音と謎の吐息、終わりそうで終わらない渡辺岳夫の曲といい、たまらんのである。

てなどうでもいい話の行き場はどこにもないのだが、その手の話がテンコモリなのが下記本。人生残り少ないのだからこういう時間のムダのようなものは手をだしちゃダメと思いつつ、ツイ読んでしまって脱力。巻末の「ほり」マンガは面白いけど。

チョンマゲ江戸むらさ記

チョンマゲ江戸むらさ記

子連れ狼誕生秘話

飲み屋で漫画担当の小島剛夕先生と話をしていた小池先生。ふと「浪人が斬り合うときに子どもがいたら邪魔だよなー」と発言。すると常に紙と筆を持参している剛夕先生がサラサラと大五郎のイメージを描き始めた。「浪人は狼みたいだから、狼一頭…主人公は拝一刀」「大五郎のヘアスタイルはたまたま手元にあった博多人形を参考に」

  • 黄門ロケバス

ガケから転落で重傷川島なお美。無事だった役者たちが助けを求めるも、忍者や武士の扮装だったため、なかなか車が止まってくれなかった

なるものを藤田まことが2005年にやっていたことを初めて知った。悪人成敗時の決め台詞を知り観たくなった。

お前さんは手遅れだ!!