養子輸出国、「小さな政府」のすり替え

明日が返却日のチラ読みメモ。

アジア海賊版文化 (光文社新書)

アジア海賊版文化 (光文社新書)

海賊版による自由な風、ねじれ

政府の統制主義的な体制は、国内の文化的コンテンツを枯渇させる方向に進んできているが、国境を越えて海外から入ってくる文化の流れは、ほとんどが海賊版という形をとりながら、そうした閉塞状況に自由な風を運んでいる。先進国では卑劣な破壊行為でしかないと断定されるとしても、ミャンマーのような閉鎖的な体制において海賊行為は人間の創造性を保障している。
(略)
若者文化が反体制的かどうかも簡単な問題ではなく、外国文化を気楽に享受できる富裕層は当然ながら軍事政権と関係の深い階層でもある。外国文化を取り入れ、国内で新たな文化を育てていこうとする試みは、ミャンマーではとりわけ特別なねじれを覚悟しなければならない。

以下、本論からはずれて
ハーバーマスにとって

公共圈という概念は、政治的民主化が成立する以前の文化の具体的な情景から生まれたものであった。イギリスのコーヒー・ハウスやフランスのサロンのような文化的空間において、資本主義の勃興期に身分社会のくびきから解放されたブルジョアジーが自由な言論の場を作り出すといったイメージこそがこの概念の母胎であった。
 つまり、政治経済的な構造の変化が文化に及ぼす影響を問題にしたのではなく、その逆のベクトルに注目した点がまずユニークだったのである。

「韓流」

という言葉は北京語で「寒流」と同音であり(hanliu)、韓国ポップスに夢中になる若者世代の様子を見て、2000年に中国のメディアが皮肉ってつけた造語だといわれている。

「養子輸出国」韓国

朝鮮戦争の時代に多くの戦争孤児をアメリカに養子として送り出して以来、韓国は世界最大の「養子輸出国」の座を維持してきた。この半世紀でおよそ16万人の幼児が韓国から養子として国外に送り出されたといわれる。初期は貧困が最大の要因であったが、70年代以降は未婚女性の婚外子が大部分を占めている。(略)
 養子を送り出す先はアメリカと西ヨーロッパがほとんどで、アメリカだけで全体の三分の二を占める。人格形成の上でもっとも特徴的な事実は、中・上流に属する郊外の白人家庭に引き取られて養子になるという点である。彼女らは白人として育てられ、成長するにつれ鏡に映る自分の姿とのギャップに悩みを深めることになる。

寺脇 橋本内閣で一府十二省庁にしたためになにが起こっているかというと、相互チェック機能がものすごく低下してきてるんです。
(略)
私はね、役人をチェックする力を一番持っているのは同じ役人だと思っているのです。お互い手の内知り尽くしているわけですから。その相互チェックの機会が省庁削減で減った。
 しかも、いま官邸主導などと言って、内閣府が巨大化してしまって、内閣府はあんまり各省と協議しないですから、駄目なんですよ。

寺脇 小渕内閣の、90年代の小さな政府論というのはそうではなかったんです。つまり小さな政府という理念が、途中からねじまげられたんですね。特に私はその間政府の中にいたのではっきりわかるわけです、例えばゆとり教育だって小さな政府主義なわけですよ。国が規制をなくしていって、それぞれの地域に合った自由な教育をしていこう、個人に合わせてやっていこうというのは小さな政府的考え方じゃないですか。共生社会とか、自立した個人というものを作っていくために小さな政府を作っていこうとしたのです。つまりその後、共生を目指した小さな政府から、競争を目指した小さな政府へのすり替えが行われてしまったわけです。