オバマが共和党員にも受ける理由

前半をチラ読み。
黒か白で対立を煽り、国を二分して争うのはやめよう、それでは解決は見出せないというのがオバマの主張。なるほど共和党員にも支持されるわけだ。

合衆国再生―大いなる希望を抱いて

合衆国再生―大いなる希望を抱いて

レーガン、新保守、クリントン

レーガンアメリカの国民に、自由主義者がもはや奮い起こすことのできなくなっていた“共通の目的”という感覚を提供した。
 レーガンにケチをつければつけるほど、批判者たちはレーガンが彼らのために書いた役割、つまり“無関心で、課税をして、その税金を使い、アメリカをいの一番に非難する、道徳的に正しいエりート集団”という役割にはまりこんでいった。
 注目すべきは、レーガンの開発した紋切り口上があの当時うまく機能したことではなく、彼の推進した物語が非常に長持ちした点だ
(略)
あらゆる問題が同じ様相を呈していた。すべてが白か黒か、賛成か反対かという短絡的なレベルで語られるようになってしまったのだ。
(略)
新しい保守派指導部の厳格な主義や、次々と政敵を見つけてはつぶしていく焼き畑式の政治や、自分たちは不当な扱いを受けてきたという過剰な意識には、不気味なくらい六〇年代の新左翼指導者を想起させるところがあった、当時の左翼指導者同様、この新しい右派の先兵たちは、政治を対立する政治観の戦いだけでなく善と悪の戦いとみなしていた。
(略)
 彼らは、保守派が長期的に過半数を維持するためには、クリントンの存在が脅威になると考えていた。だからあれほど激しくクリントンを糾弾したのだ。(略)彼らはクリントンを六〇年代自由主義の象徴にすることに成功した。

二者択一からの脱出

民主党が相手以上に党派主義とイデオロギー色の強い戦略を追求すれば、結局はいまこの瞬間についての理解を誤ることになる。大げさな話をしたり、自分たちの論拠をやたらと単純化したり誇張したりしはじめたとき、かならずわたしたちは負ける。政治討論のレベルを下げたときには、かならず敗北が待っている。国の直面する難題を乗り切る新しい方法が見つからないのは、イデオロギー的な純粋さと厳格な正統性を追求しているせいであり(略)
わたしたちが“二者択一”的な思考から抜け出せないのは、だからなのだ。
(略)
いま必要なのは、国家再建計画に関わりなおし、自分の利益と他者の利益はつながりあった不可分のものと考える大多数のアメリカ人、党派を超えた大多数のアメリカ人なのだ。
(略)
 わたしは頭のなかに思い描く。理想主義と現実主義のバランスをとって歩み寄れることと歩み寄れないことの区別をつけ、ときには相手側の主張も認められるくらい成熟した政府を国民が待っているところを。人々のなかに、右派と左派の主張のちがい、保守派とリベラル派のちがい、独断的な考えと良識の区別、責任と無責任の区別、長続きするものとつかのまのものの区別がいつもついているとは限らない。彼らは蚊帳の外から、共和党民主党が自分たちに追いつくときを待っているのである。

時間をかけて実際にアメリカ市民と話をしてみれば、福音主義者のほとんどはマスコミが押しつけようとする姿より我慢強いし、政教分離主義者のほとんどは宗教の精神性を重んじている。裕福な人々の大半は貧しい人たちの成功を望んでいるし、貧しい人たちの大半は大衆文化で表現されているより自己批判的で、高い志を持っている。共和党の基盤のほとんどには民主党支持者が四割いて、逆もまた真なりだ。自由主義派と保守派という政治的なレッテルから個人の特性をたどれることはめったにない。

アル・ゴアの受けた仕打ち

アル・ゴア副大統領の大きな後ろ盾だったある企業経営者と話をしたときのことが思い出される。
(略)
 「不思議だったよ」その経営者は言った。「だってあの男は元副大統領で、ほんの何カ月か前には、この惑星で最大の権力を持つ男にならんとしていたんだ。選挙期間中、わたしはどんな時間でも彼の電話には出るようにしていたし、彼が会いたいと言ってきたら、スケジュールを組みなおしたものだ。ところがとつぜん、選挙後に彼がやってきたとき、会うのが面倒という思いを禁じえなかった。あの男のことは本当に気に入っているから、認めたくはないんだが。しかし、なんだか彼はアル・ゴアではなかった。元副大統領ではなかった。わたしのところには資金を求めて一日に100人くらいの人間がやってくるが、あの男もそのひとりにすぎなかった。政治家はなんて大きく険しい断崖にいるのかと、あのとき痛感したよ」

この本を書いたときにはヒラリーとああなるとは思っていなかったのだろうか

 たとえば最近は、自分たちは“弱腰”で“何を代表する党でもない”とほのめかしているかのように見える民主党員の発言がやたらと目につく。逆に共和党は“強気”で(いささか卑劣であっても)、どんなに頻繁に考えを変えようとブッシュは“揺るぎない”姿勢の持ち主と思わせる発言がばらまかれている。ヒラリー・クリントンが彼女らしからぬ投票や演説をしたら、たちまち計算高い行動というレッテルが貼られる。同じ行動でもジョン・マケインがすれば、型破りな人物という証明書に磨きがかかる。

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