- 作者: 山下範久
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/11
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正戦論の起源
じつは、アメリカにおける正戦論は、今回のテロをきっかけに降って湧いたように生じたものではない。また、「十字軍の再来」になぞらえられるような、中世における宗教的征服の単なる反復でもない。それは、近世以来「世界の中心」でありつづけたヨーロッパとの関係の変化を通じて出現し、戦間期から第二次世界大戦期に明確化した、国際政治におけるアメリカ的価値観の表れなのである。
アメリカによる新しい論理
ヨーロッパ公法秩序は、このように「外部」を前提として、また内部において発言力に乏しい小国や周縁地域を「駒」として動かすことで成立していた。そのことが、20世紀の二度の世界大戦の一因となり、結果としてこの秩序を崩壊させることになる。しかしヨーロッパ公法秩序崩壊の原因としてシュミットがもっぱら注目するのは、ヨーロッパの外部から国際法秩序に別の原則を持ち込み、徐々にその力を強めていった、「アメリカ」という新しい強大国の論理であった。
シュミットは、モンロー主義に代表される合衆国の「孤立化」路線が、いかにして一見正反対の政策、すなわち世界中の紛争や政治変動への干渉を導いたのか、あるいはそれらが両立しえたのかを解明するため、この時期の合衆国外交について掘り下げた考察を企てている。
干渉を合法化。民主性を審査するのはアメリカ。
スペインからのキューバ解放のために1898年に宣戦布告した合衆国は、新キューバ共和国が成立するや否や、政府との間に干渉条約を締結する。この条約の目的は独立擁護や生命・財産・人身の自由の保護とされているが、実際にはキューバに投資されたアメリカ資本の保護、および公序公安の維持を名目とする内政干渉であった。さらに合衆国は、この干渉条約の内容を1901年、キューバ憲法に取り入れさせた。これによって、国際法においても国内法においても、キューバに対する合衆国の干渉は、完全な法律上の根拠を獲得したのである。こうした手法は、ラテンアメリカ諸国に相次いで起こったクーデター政権や革命政権に対して、合衆国がそれを承認するか否かという局面でも再現された。新政府が民主的憲法を有する合法的な存在でなければ、合衆国はそれを承認しないのだが、ここで合法性や民主性を審査し決定するのは、合衆国自身なのであった。
シュミットはこの新たな支配形態を、ヨーロッパで知られてきた植民地や保護領とはまったく異なる、新しい帝国主義のあり方として驚嘆とともに記している。
「不戦」を謳いつつ戦争を否認せず
戦争を非とする1928年のケロッグ条約に注目している。シュミットはここで、この条約が合衆国に発するものであり、しかも「不戦」を謳いながら必ずしもすべての戦争を否認しないことを強調する。こうした一見あいまいな規定は、モンロー主義の可塑性と同じメリットを合衆国にもたらすものであった。というのは、シュミットによると正しい戦争と不正な戦争、あるいは何が戦争で何が戦争でないのかといった区別そのものが、合衆国の意のままになるからである。
攻撃=侵略戦争の違法化
シュミット自身は(略)攻撃=侵略という価値判断を疑問視している。しかし、こうした議論を度外視して「攻撃=侵略戦争の違法化」を推進したのが合衆国であり、その最初の明文化がすでに述べたケロッグ条約であった。シュミットはこれを、法的な構成によってではなく、政治的な力、つまり正しいことと間違ったことを裁定する最終審級となりうる決断力を、合衆国が国際社会で獲得したことによると見なすのである。
「正しい敵」から「国際犯罪的国家」へ
第二次世界大戦戦後の二つの国際軍事法廷を通じて(略)「正しい敵」は消え失せ、代わって「国際犯罪的国家」が登場した。(略)
ここにおいて、「ヨーロッパ公法の時代」が終焉を迎え、「帝国アメリカ」が出来するというのが、シュミットの歴史像である。彼はここで、アメリカ出自の正戦論について、もう一つ興味深い指摘をしている。シュミットは、敵を有罪化する現代の戦争概念が、キリスト教的な正戦論への復帰であるという考えを否定する。むしろ、われわれの敵は「正しい敵」ではなく、一介の犯罪者に過ぎないという見方は、戦争技術と殲滅手段の発展にともなって、自らの行為を正当化する「力ある者」のイデオロギーであると言うのである。
- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06/01
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こりゃあ下らないと放棄しかけたら、第四章は岡田斗司夫「帝国論」の様相。
- 自分のトコだけ豊かにというのは無理
- ローマ帝国を継承しているというなら、属国の優秀な個人を大統領にしてみろ
- 世界征服にうまみなし。好きなことが出来るわけでもなく、逆に問題処理を負わされて苦労するだけ。
富を独占するのではなく、市場を活性化して、みんなが豊かな世界を作ること。それが支配者がもっとも簡単かつ確実に「栄耀栄華」を楽しめる方法なのです。
まあそんなわけでかつての「世界征服」はなりたたなくて
自由経済とネット社会というシステムによって、私たちの「気分」がブームを作り、それが私たち自身を支配している
そんな支配者のいない「経済と情報の自由化」に逆らうには、格差をなくしフェアトレードで、ネット情報より、身近な「目上の人」の言うことを信じる。
新時代の「悪の組織」はおそらくボランティア形式で、人と人との交流がメインとなるでしょう。ソトコト的なエコロジー団体にしか見えないかもわかりません。
最後10頁を立ち読みすればそれでOKというか、エッセイネタで済むところを無理矢理薄めて本にしたというか、まあこっちは借りただけだから文句はないけど。オタク界のタムケン(タケムラケンイチ)だから売れ、ちゃあ。