前日の続き。
- 作者: ブロック.W,橘玲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/03
- メディア: 単行本
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労働基準法や男女雇用機会均等法のない自由な市場においてのみ、真に同等の生産性を持つ男女が同じ額の報酬を得る平等な社会が実現する。飽くことなく利益を追求する民間企業だけが、社会的に差別された女性の窮状を利用して、生産性の割に給与水準の低い労働者を確保する経済的な動機を持ち、その欲得ずくの行動によってはたらく女性の報酬は上がっていくのである。
麻薬密売人
法による覚醒剤の禁止は、その末端価格を「天文学的」としか形容するほかない水準まで引き上げる破壊的効果を持つ。(略)
[高価格の覚醒剤を購入するために犯罪に走ってしまう。安ければそんなことはない]
シャブの売人の役割とは、彼がこの業界に参入してくる目論見とは裏腹に、覚醒剤の末端価格を引き下げることである。新しい売人が一人路上に立つたびに、需要と供給の法則によってシャブの販売価格は下落する。一方、警察当局による規制や取り締まり強化によって売人の数が一人減るごとにシャブの価格は上昇する。
飢饉でボロ儲け
豊作で食糧の価格が平年より安いときに、商人は食糧を買いだめしようと考える。その結果、市場に出回る食糧は減り、価格は上昇する。そして不作の年が訪れると、蓄えられた食糧は市場に放出され、価格は下落する。
もちろん、商人は買った値段よりも高く売るのだから、不作の年の食糧価格はそれまでよりも高くなる。だがそれでも、彼がいなかった場合ほどには価格は高騰しないだろう(食糧不足そのものは商人の責任ではなく、たいていの場合、旱魃や洪水などの自然的、人為的災害が原因となる)。
飢饉でひと儲けを企む悪徳商人の段割とは、食糧価格を均衡化することである。安いときに買って値段を上げ、高いときに売って値段を下げる。その取引から彼は利益を得るだろうが、これは「悪徳」ではない。そればかりか、社会にとって価値ある貢献をしているのである。
労働基準法が失業をよぶ
偶像を叩き壊すようで申し訳ないが、最低賃金が失業をつくり出しているのは明らかな事実である。賃金水準が上がれば、はたらきたい人(供給)は増え、手に入る仕事(需要)は少なくなる。
(略)
ここで強調しておくべきことは、法に定められた最低賃金はその賃金水準以下ではたらく人にのみ影響を及ぼすということだ。すベての人が時給750円以上ではたらくことを法が命じても、時給1000円を稼ぐ人にはなんの影響もない。
労働基準法が低賃金労働者の所得を増やすことにつながると信じている人は、もし最低賃金が時給一万円になったら、なにが起こるかを考えてみればいい。雇用主が時給一万円を喜んで払うようなすばらしい生産力を、われわれのうちいったい何人が持っているというのか。その大金に見合うと思われる者だけがはたらきつづけることを許され、残りは解雇される。(略)
労働基準法によって傷つくのはだれか? 技術や資格がなく、法で定めた賃金水準以上の生産力を持っていない労働者である。
- 脱線・俺の妄想1
最低賃金はないから仕事はある、あるけど時給10円、そんなのやる気がしないので、金持ちに対する憤懣を高める。貧乏人の怒りにどう対処するか。金持ちと貧乏人を隔離する、民間武力で防衛することは可能か。テロ対策においてそれらが全く無効であることが明白になっている。
では、ガス抜きか。憤懣が薄まるまで時給を上昇させて、雇用を高めるのか。
- 脱線・俺の妄想2
アフリカに援助物資を送ったり、子供を働かせるナイキを批判することは、逆に最貧国から雇用を奪っていたりする。ナイキは自分達は間違っていないと主張して、裁定を市場原理に委ねればいい。一方、そんな間違った考え方のボランティア集団がナイキを批判するのも言論の自由だ。じゃあなぜ大抵の企業はことなかれ主義で一部の集団の批判に動じてしまうのか。イメージが悪くなるから。本社前でのボランティア集団による、落語「らくだ」的恫喝・お涙頂戴パフォーマンスに屈してしまう。
- 脱線・俺の妄想3