ロシアのユーモア、リンさんの小さな子

ロシアのユーモア―政治と生活を笑った300年 (講談社選書メチエ)

ロシアのユーモア―政治と生活を笑った300年 (講談社選書メチエ)

オデッサは東西の血が渦巻くカオスの港町

オデッサでは質問には質問で答えるっていいますが、これは本当ですか?」
「どうしてまた、あなたはそんなことを知らなきゃならないのですか?」

フルシチョフスターリン批判をした時

出席していた党委員のなかから声があがった。
「そのとき貴方はなにをしていたのですか?」
すると即座にフルシチョフが応じた。
「いま発言したのはだれか、挙手していただきたい」
だれも挙手する者がいなかったので、フルシチョフは答えた。
「いまの貴方と同じように、私も黙っていた」

社会主義体制はいかなる矛盾を抱えているか」

「わが国には失業はないが、だれも働いていない。だれも働いていないが、みんな給与をうけとっている。わが国ではみんな給与をうけとっているが、しかし給与ではなにも買うことができない。給与ではなにも買うことはできないが、みんながすべてのものを持っている。我々はすべてのものを持っているが、みんな満足していない。しかしみんな不満だが、投票のときはみんなが『賛成』」

「民主主義の原則」

イギリスでは多くのことが駄目であるが、しかし、して良いことはして良いのである。フランスでは多くのことはして良いのだが、しかし、駄目なものは駄目である。アメリカでは駄目なことすら、してよいのであるが、ソ連では、して良いことすら駄目なのである。

リンさんの小さな子

リンさんの小さな子

高橋源一郎川上弘美が号泣したというので読んでみた。至って素直な人間なので泣けるなら泣きたかったのだが、駄目だった。一番悲惨な事実をオチにするというのはどうなんだろう。「ま、そうは言ってもこの人、アレですから」という思惑で淡々と描写している作者の冷淡な顔が浮かんで納得がいかない。それともその残酷さに泣けるのか。だって車道を渡るとなればそうなるわけで、それでオチがあれじゃ、逆水戸肛門かよ。カンチョーするぞ。上品な「一杯のかけそば」としか思えない。
やっぱり高橋は子育て中だから泣けるのだろうか。ツボは人それぞれ。僕なんかあの『優しい時間』で泣けますから。コーヒーかりかりの栗鼠おやじや「死神」タトゥーに苦笑しながら、陶芸中の二宮クンを陰で見守る栗鼠オヤジに、二代目裕次郎に「今はまだ会えないんです」という二宮クンに、号泣。わかる人だけ泣いて下さい。
(余談ですが)
文春・阿川対談の川上弘美

  • 身長は中三で176センチ。(アッコよりデカイ!)
  • 短気だ
  • 大学のSF研の一年先輩が柴門ふみ

阿川の感想「20年前の壇ふみのようだ」