ナベツネ・サンバ・秋

文藝春秋12月号
独占手記
たかが選手」発言と一場事件の真相
“世紀の悪者”にも言わせてくれ
プロ野球ストの争点を衝く 渡邉恒雄

[ナベツネの弁明・事実経過]

  • 記者から同僚・真中の「オーナーと話がしたい」という発言を聞き古田「それは無理じゃないですか」と答える。
  • それに対して「たかが選手」発言となるが、実際はその後に「たかが選手だって立派な選手もいるけどね。オーナーとね、対等に話しする協約上の根拠は一つもない」とフォローしてるのだと、けなげなナベツネ
  • 実際ナベツネの発言を聞いた古田は「私がオーナーに会いたいと言ったわけではない」と発言。

まあここまでだとネット厨房はナベツネ必死だなと笑うところだろうが、マスコミのメジャー礼賛にちゃんと反論している。そこらへんは伊達に出世してないよなあとも思うが、最後のプロ野球改革案のしょぼさを見ると、確立した体制の中で権力を掌握したりするのは得意だけど、新しい発想とかはない人なのかなあ。
[メジャー礼賛への反論]の一部

  • テレビ放映権料を分配している

分配されているのは約2430試合の内のワールドシリーズ等を中心とした約百試合程度である。ケーブルなどのローカル放送は各球団のものである。

92年から98年までオーナーの反乱によりコミッショナー不在の事態。結局その間現職のセリグが代行となり、98年に就任。しかもセリグは元ブリュワーズのオーナーであり、オーナー会議の意を受けているからこそ権力があり、球団削減等で政界、選手会から糾弾されても闘える。
[完全ウェーバードラフト制度・問題点]の一部

  • 完全ウェーバードラフト制度下でBクラス決定した球団が故意に最下位になり有望選手を狙うのではなかろうか。
  • MLBドラフトでも代理人が介在する高額契約の事前交渉が行われて、一位指名権を得ても金がない球団は見送っている

[独禁法絡みの話]
ドラフトは独禁法違反であるが、文化的公共財として適用を逃れてきた。
「球団の赤字を親会社の宣伝費で」というのも文化的公共財として税法上優遇措置を受けていた。
今回日本選手会は労働法で闘ったが、メジャー選手会独禁法で闘った。
カート・フラッド*1によって、選手契約、雇用慣行がはじめて独禁法の対象となったが、フランチャイズ制度、ドラフト等については未だ対象外である。

*1:69年トレード通告を受け独禁法違反だと訴えたが敗訴した選手の名前をつけたもの