ロバート・アルトマンの「ゴッホ」を観る。
ボクの脳内ゴッホはこんなカンジなので
https://kingfish.at.infoseek.co.jp/REAL/blue.mp3
どうもこの映画のテイストに馴染めません。
テオを筆頭にやたらとピリピリしている奴か、
やたらに嫌な奴のどちらか。芸術に無理解なのと、
人間として嫌な奴とは別だと思うのだが。
ガッシェ医師はあんなに嫌な奴だったのだろうか。
芸術はわからないけれど絵が好きで
貧乏画家の面倒をみたりしてた田舎医師じゃないのか。
テオの妻は実際悪役にならざるをえないのだが、
兄の発狂にめちゃブルーになってるテオを前に
ガツガツ食いまくる女として描くのはヒドイ。
オーベールをテオ一家が訪ねた場面でも
ガツガツ食いまくり。やりすぎだよ。
とどめに、死んだゴッホの絵を飾り付けてるテオに
むかって「食事に遅れちゃう」とか言わせるし。
芸術がわからないからって人品卑しく描くことはないだろ。
そういう描き方は卑怯だと思う。アルトマンは
『私は芸術家に対してだととても同情的になってしまう』とか
言ってるんだが、だから周囲の人間をイヤな奴に描くのか。
芸術がわかる顔してるのにわからない奴はクズだが、
芸術に興味がなくたって少しも人として問題ないだろう。
そう思って「ファン・ゴッホの手紙」を借りてくる。
ねえ、健康には最善をつくしてくれ、
僕もできる限り気をつけよう。
僕らの頭のなかはあまりにもいっぱい詰まっていて、
僕らは忘れることができない---
ヒナギク、掘り返された真新しい土の塊、
春に芽ぶく灌木の枝、冬の寒さに震える裸の木々の枝、
澄みきった青の晴朗な空、雲の多い秋の空、
冬の単調な灰色の空、伯母たちの庭の上に昇る太陽、
スヘーフェニンゲンの海に沈む赤い太陽、
夏の、あるいは冬の美しい夜の月と星---
いや、何が起ころうと、それらが僕らの職業だ。
(ISBN:4622044269)
こんな手紙を兄の死の一ヶ月前に書き送るテオは
映画とは違い、柔らかく脆い人のように思える。
「社会で実際に活動したのだ。君は仲間だ」
- うまいと思ったところ
ゴッホとゴーギャンの絵画理論対立を
料理の仕方の違いで描写したとこ
- ちょと泣けたところ
自殺の引き金とも言われるテオ家訪問の場面
弟夫婦の諍いの横で「あっちの世界」にいるゴッホの
いくら描いても結局オレの絵を飾るのは弟だけで
こうやって狭い部屋に溢れかえるしかないのか、
そんな表情をさらっと描写したとこ。
うわあ、文章むちゃくちゃ。知るかっ。