平原タイプライター

ジェシカが駆け抜けていったら。
いい匂いがした。
気分がよくなってクルマを走らせたら。
川沿いの桜沢エリカ並木は鼻穴と頬骨が
すっかりピン子で沙知代で姥桜だった。
目的地をすぎた主夫ダンナはホスト面の
品庄合体フェイスでバブル女の埋立地だった。
ボルトがなかった。指がなかった。
はっきりと美しい日本などなかった。
なのであり、なのであり。
繁殖であり、消滅であり。
男らしさの深みから押し寄せる
ぶよぶよとした幻覚に酔いしれながら。
ジェシカのことを考えた。