『球団消滅―幻の優勝チーム・ロビンスと田村駒治郎』
ISBN:4480818162
田村駒治郎という人がオーナーをしていた球団に
ついて書かれた本なのだが二リーグ分裂の経緯が
詳しく書かれている
   
正力松太郎の二リーグ制提案に反対したのが読売!
現在の感覚からすると変に思われるが、
戦犯として正力が巣鴨に収監され読売を離れたため
読売社内に正力排除の動きがあったのだ。
(今で言うなら新日と猪木のビミョーな関係ってとこ)
正力は二リーグ制への布石として毎日新聞に声をかける。
毎日を入れて九チーム、ゆくゆくは十チームにし、
読売の専横への他球団の積年の恨みを利用して
毎日を頂点とする新リーグ設立を画策する正力。
それを阻止すべく毎日参加に反対する読売。

赤字を出しながらもここまで支えてきたプロ野球が、
ようやく利益を生み出すようになった今、
なぜ新球団を迎えなくてはならないのか、
というのは経営者としては当然の考え方であった。

近鉄、星野組、広島、大洋漁業も名乗りをあげる。

  • ニリーグ移行はないという正力の言質を得て

阪急は毎日加入賛成派にまわる。

  • 正力の毎日参加反対派切り崩しを知った読売側は

正力連盟会長の退席を求める緊急動議を提出

  • 代表者会議を退席させられた正力は二リーグ化を決意
  • 八チーム維持のため駒治郎は毎日ロビンスを提案

(毎日はあくまでも広告主であり、オーナーは駒治郎)

反正力反毎日となり読売・中日・太陽が結束するも、
賛成派五球団で劣勢。

  • 伝統の巨人阪神戦に未練のある阪神の寝返り*1に成功

その裏には読売・正力を両天秤にかける鈴木龍二の影

田村さん、これは戦争ですよ。
新聞には『二リーグ』などという言葉が出ているが、
私はそうは思っていない。今の日本に二つのリーグは多すぎる。
いずれどちらかがつぶれます。
残るのは、我々なのか?正力さんたちなのか?

野球史的には、二リーグ分裂は昭和二四年十一月二六日、
東京全館別館で開かれたオーナー・代表者会議の席上
突然決まった、ということになっている。
だが、実際にはこの会議は既定の事実を確認する場でしかなかった。
会場内は、両陣営がそれぞれグループをつくって席をとり、
はじめから異様な空気が漂っている。
冒頭、正力会長が挨拶に立ったときには拍手もおきない。
「毎日、近鉄の加盟を認め、十チームによる、
一リーグ制の実現に努力したが、両者の主張が相容れず、
こんにちまで妥協の道を見出すべく協議を重ねてきたが、
とうてい協調できないことがわかった。
残念であるが、分裂もやむをえない」
正力の言葉からやや間を置いて、巨人の四方田代表が立ち上がり
「われわれは、セントラル・リーグとします」と、続いて、
阪急の村上代表が「われわれは太平洋連盟とします」と宣言する。
名称も数日前に、それぞれの陣営が話し合って決めたものだった。
「結局は、正力さんの思い通りになってしもうた」
駒治郎には、ここで起こっていることが、
今もって現実のようには感じられなかった。

*1:オーナー・代表者会議では阪神富樫代表に「裏切り者」という声がとんだ