哲学

近代政治の脱構築 ロベルト・エスポジト

ルソー カント 近代政治の脱構築 共同体・免疫・生政治 (講談社選書メチエ)作者:ロベルト・エスポジト発売日: 2009/10/09メディア: 単行本 ルソー わたしたちは、すでに述べたように、共同体を所有しない人びとによる共同体を生きているのだ。(略) [このよ…

「貧者を殴り倒そう」ボードレール語録

「貧者を殴り倒そう」(『パリの憂愁』) [解説] 世界はやがて終わりだ(「火箭」15) ボードレール語録 (岩波現代文庫)発売日: 2013/04/17メディア: 文庫 「貧者を殴り倒そう」(『パリの憂愁』) それまでの二週間、私は部屋に閉じこもって、当時(十六年…

ライプニッツの迷宮

デカルトの切断 スピノザの切断 ホッブズの切断 ライプニッツの迷宮 無意味の世界 ライプニッツ哲学の基本 モナド「点から連続体をつくる」 仮定的必然、リエゾン 視点なき無限 前日のつづき。 「哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀」その4。 前回…

ホッブズ・約束という暴力

国家はある種の虚構 「取り消し不可能なもの」 約束は暴力である ホッブズとスピノザの違い 前日のつづき。 「哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀」その3。 哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀 作者: 上野修 出版社/メーカー: 講談社 発売…

スピノザ・敬虔なるマキャベリスト

スピノザの並行論 デカルトとスピノザ 敬虔なるマキャベリスト 国家論へ――ホッブズとスピノザ 前日のつづき。 「哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀」その2。 哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀 作者: 上野修 出版社/メーカー: 講談社 発…

世界の底がぬけた世紀の哲学者たち

世界の底がぬけた17世紀 デカルト スピノザ 哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀 作者: 上野修 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/11/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (9件) を見る 世界の底がぬけた17世紀 17世紀は、いわば世界の底が…

アニメーションの表現史 細馬宏通

手の謎はこうだ。 ミニー・ザ・ムーチャーの幻覚 リップ・シンク 現実界と描画面 前回のつづき。 ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史 (新潮選書) 作者: 細馬宏通 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/10/25 メディア: 単行本 この商品…

『リトル・ニモ』を描いた男

『リトル・ニモ』ウィンザー・マッケイの経歴 黒板アニメ『愉快な百面相』 そもそも、マッケイはなぜ恐竜を選んだのか? アニメ界のヘンリー・フォード ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史 (新潮選書) 作者: 細馬宏通 出版社/メーカー: …

ハンナ・アレント 中山元

権力と暴力 ナチス、人権の無効 モッブと大衆 フランス革命 ハンナ・アレント<世界への愛>: その思想と生涯 作者: 中山元 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2013/10/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 権力と暴力 一般に権力が「最高善…

正義の秤 ナンシー・フレイザー

「被害者限定原則」に代わる「被治者限定原則」 統治の構造への共同の従属 ゲームの規則を変える 正義の秤(スケール): グローバル化する世界で政治空間を再想像すること (サピエンティア)作者:ナンシー・フレイザー法政大学出版局Amazon 時間がないので訳者…

新訳 初期マルクス・その2

バウアーの課題 政治的解放の限界 福音書 「革命的実践を正しい関係の〜」についての解説 前日のつづき。 的場昭弘による「ユダヤ人問題によせて」解説編。訳と解説が交互するので、区別できるように、冒頭に[訳]と[解説]をつけました。 新訳 初期マルクス――…

なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか

なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか。 新訳「ユダヤ人問題に寄せて」 国家の宗教からの解放は、現実の人間を宗教から解放するということではない 自由という人権は政治的生活と闘争に入るや権利であることをやめる 的場昭弘による4ペー…

カール・シュミット入門講義・その3

自由主義 マルクス主義 『政治的なものの概念』からの引用 前日のつづき。 カール・シュミット入門講義 作者: 仲正昌樹 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/03/02 メディア: 単行本 クリック: 6回 この商品を含むブログ (14件) を見る 自由主義 シュミッ…

カール・シュミット入門講義・その2

「政治神学」 神を代理する存在「独裁者」 「決定主義」 人類そのものは戦争をなしえない 人類を口にする者は、欺こうとするものである 前日のつづき。 カール・シュミット入門講義 作者: 仲正昌樹 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/03/02 メディア: 単…

カール・シュミット入門/仲正昌樹

具体的秩序 ロマン派とポモ 90年代日本のポストモダン保守思想 政治的ロマン主義の問題 「実証主義+規範主義」 ボダン 高速パラ読み。 カール・シュミット入門講義 作者: 仲正昌樹 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/03/02 メディア: 単行本 クリック: …

福田恒存の「大衆」論、インテリ批判

「二つの世界のアイロニー」(1950年) 「文学者の文学的責任」(1951年) 「知識階級の敗退」(1949年) 「理想人間像について」(1947年) 「白く塗りたる墓」(1948年) 「民族の自覚について」(1949年) 「観念的な、あまりに観念的な」(1949年) 呉智…

吉本隆明と小林秀雄

小林秀雄の方法(昭和36年) 『本居宣長』を読む(1978) 『悲劇の解読』 小林秀雄賞受賞について(2004) 呉智英がせこい印象操作で吉本隆明と小林秀雄を結び付けていい加減なことを書いている本を後日検証するのですが、その前に吉本による小林秀雄論&イン…

吉本隆明、オウムを語る

「より普遍的倫理へ」 麻原 「産経新聞は間違っている」(1995) 「全共闘おじさんオウム・サリン事件を語る」に応えて 後日取り上げる呉智英の吉本隆明批判本に「麻原を擁護して批判を浴びた吉本が腰砕けになって無差別大量殺人はよくないと言い出した」て…

男女平等で木嶋佳苗が七輪

テレビは日本人をどう変えたのか? 講談ジャンプ 吉川英治と小林秀雄 グーグル図書館と著作権 木嶋佳苗がなぜ男を騙せるか その未来はどうなの? (集英社新書)作者:橋本 治集英社Amazon テレビは日本人をどう変えたのか? やたらの数の批評的言辞を弄する人間…

橋本治が大部屋で入院してたんですよ

病名は顕微鏡的多発血管炎 定年退職した団塊の世代は「本を読む」だろうか、 「狂気」でさえもがバーチャル 同室患者の呻き声 病床で島崎藤村『夜明け前』を読んでみたら 「東大話法」 出版社のおエライさんが橋本治を見舞いに行ったら大部屋だったゼエ、ワ…

ルジャンドルとの対話

〈テクスト〉という概念 権力の問い 国家 ダンス禁止 キリスト教は規範を欠いた宗教 ルジャンドルとの対話作者:ピエール・ルジャンドルみすず書房Amazon 〈テクスト〉という概念 わたしは社会、文化、また文明といったものと等価になるような概念として〈テ…

マチウ書試論 吉本隆明

わかりやすい吉本隆明かどうかわからなくなってきたけど、第四弾『マチウ書試論』。 ジェジュ=イエス、マチウ=マタイです。 [故郷で説教したイエスが大工の子じゃないかとバカにされ、「預言者は故郷や家では軽蔑される」と言う描写] 作者の造型力が、架空…

トクヴィルの憂鬱・その2

前日のつづき。順番を変えてプレス考察を先に。トクヴィルの憂鬱: フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生作者: 高山裕二出版社/メーカー: 白水社発売日: 2011/12/23メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (16件) を見るプレスの弊害…

トクヴィルの憂鬱

「何者でもない」世代 「職が必要です」 悩めるトクヴィル 卒業旅行 『荒野の二週間』inアメリカ アパシー トクヴィルの憂鬱: フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生作者:高山 裕二発売日: 2011/12/23メディア: 単行本 「何者でもない」世代 大革命後に生ま…

トクヴィルで考える

第一、二章をチラ見。トクヴィルで考える作者: 松本礼二出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/12/15メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見るデモクラシーの軍隊 トクヴィルが並の自由主義者と違うのは、民主社会の軍隊そのも…

デカルトの骨

スウェーデン女王クリスティナ22歳 幻滅、飼い殺し、死去 不老不死デカルト だが、どこに埋葬する? デカルト主義者のサロン 崇拝者が墓を暴く デカルトの骨 死後の伝記作者:ラッセル・ショート発売日: 2010/10/23メディア: 単行本 スウェーデン女王クリステ…

発信するほど孤立するプチ・ルソー

最終章からの引用。 オチみたいなものなので、読みたくない人は避けた方がよいかも。といって、ネタバレ改行もしないけど。今こそルソーを読み直す (生活人新書)作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2010/11/06メディア: 新書購入: 3人 クリック:…

〈主体〉のゆくえ

カント『純粋理性批判』 日本で最初に「Subject」と格闘した西周 1922年末アインシュタイン来日 フォイエルバッハ・テーゼ 師・西田の先を行った三木清 sub(下に)+ject(投げる)という意味になる“subject”が何故に「主体」と訳されているかという話。 ア…

遁ヅラ宮台インタビュー

宮台“遁ヅラー”真司論文にインタビューを追加した本。 なるほどこんな理解不能な論文を書くように教育されるから、この手の学者の文章はあのようになるわけかと納得しつつ、インタビューから引用。システムの社会理論―宮台真司初期思考集成作者: 宮台真司,大…

石原吉郎詩文集

石原吉郎詩文集 (講談社文芸文庫)作者: 石原吉郎,佐々木幹郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/06/11メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 26回この商品を含むブログ (30件) を見る敗戦、ソ連軍によって民間抑留者となった著者。収容所は食料のみならず食器…